「おまえにコーヒーを入れてやる」
と言いだし、わざわざソーサーまでつけてコーヒーを出してくれた。
「じゃあ、いただきます。」
酸味とか渋みとも違うなにやらちょっと濃い味。
親父をその様子を見ながら、意味ありげに聞く。
「どうだ? うまいか?」
「う・・ん。ちょっと濃い独特の味がするね。」
「悪くないだろ。」
「うん。」
「なかなかいけるだろ。」
「うん。」
反応を一通り確かめると親父は語り始めた。
「このコーヒーはな、ルアク・コーヒーって言ってな、インドネシアからお土産に買ってきた。」
「ふーん。」
「高かったんだぞ。なにしろ世界一高いコーヒーと言われている。読め。」
そういって、コーヒーの商品袋を渡してきた。見るとその袋にはネコのような野生動物の写真が印刷されている。
「なになに・・・独特の風味のある"コピ・ルアク"
ジャコウネコが食べて未消化のまま排泄されたコーヒー豆を焙煎したもの・・・・
つまり、ウン○ってことかよ?」
「はははっ!! そのとおり。」
「つまり、こういうことだ。
農園にはジャコウネコが放し飼いにされていて、
現地の人がカゴを持って地面に落ちている豆を一つ一つ拾ってるんだ。」
「だから、高いんだろ?」
すると親父は直接答えず、こう言った。
「悪くないだろ?」
Wikipedia "コピ・ルアク"
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%94%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%82%A2%E3%82%AF
Wikiには次のように明言されている。
「高価格は、稀少価値がきわめて高いことが最大の理由であり、必ずしもコーヒー豆としての品質や味が最も優れているからというわけではない。」

