先日、北京からやってきた中国人Cと向かい合って、レストランで食事をしていると、思い出したようにCがこんな話をし始めた。
「東京に北京の大気汚染が飛んでいくという話を聞いたがそれは本当か?」
僕が『そうだよ、なんとかしてくれ』、と言おうと考えながら、口に入っている料理を急いで飲み込もうとしていると、彼は続けた。
「あんな遠くにまで・・・。」
Cは顔をしかめて、手を広げてそんなことありえないだろというような顔をしている。つまり、彼には汚染小物質が海を越えて気流に地球のどこまでも運ばれていくことがある、というような知識を全く持ち合わせていないようなのだ。
逆にいうと、つまり、彼は『東京に北京の大気汚染が飛んでくる』という話を、どこかの日本人が中国に投げている『言いがかり』と捉えていることになる。
(やっかいなことになったな・・・)
中国人のメンツをつぶすとマズイことなるという話はよくあるので、僕は中国ではなく、モンゴルを選択し、また汚染物質ではなく黄砂の話をすることにした。
「季節によって、モンゴルから舞い上がった黄砂が気流に乗って日本まで来るよ。」
「ほんとか?」
「干している洗濯物に黄砂がついた、って、ワイフが嫌がっているよ。」
「・・・それは最近のことか?」
「いや・・・黄砂が日本に飛んでくるのは以前からの現象だと思うけど。」
Cは依然として懐疑的だった。
さて
彼にPM 2.5が中国から日本に飛んでくるのは、普通の自然現象で、かつ日本ではよく知られた現象であることを納得させるにはどうすればよかったのだろう?