2009/10/15

麻薬探知犬の訓練に協力する(その3)

麻薬探知犬と女性職員が奥に消えた1分くらいした後のことだった。

再び、前回と同じところから探知犬をつないだ女性職員が現れた。

(ヨッ、待ってたよ!!)

どうやらルートが決まっていて、もう一周やることにしたらしい。

 クンクン、クンクン

探知犬君はさっきと同じくらいの流れるようなスピードでこちらにやってくる。

(今度も通過してしまうんじゃないか?)

すると、今度は僕の手前3メーターくらいところで、女性職員がリードを引っ張って、探知犬をスローダウンさせた。

スローダウンとともに探知犬はやや丁寧にクンクンし始め、こちらにやってきた。

 クンクン、ん?

ブツの仕込んである僕の右足の前で、探知犬は足をとめた。

 クンクン、これはあやしい?

 クンクン、ここだ

 クンクン、間違いない


 ヘッヘッヘッ・・・見つけました、ご主人さま

探知犬は僕の右足の甲のあたりをひとしきりクンクンすると、その場にお座りして「主人」のおねえさんを見上げた。

(やるねー。やっぱり、犬にはわかるものなんだ)

おねえさんは、懐から白いぐるぐる巻いたタオルを取り出し、何かを言いながらタオルを床に放り投げた。

探知犬はたちまち白いタオルを追って パクっと、それをくわえた。

そして、探知犬と「ご主人の」女性職員は再び、僕には何も言わずにそのまま去って行った。

(あのー、僕はどうすれば・・・)

つづく




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