2010/03/31

タクシーで行く; フェズ→タンジェ

フェズ→タンジェのグラン・タクシーの旅は4時間かかった。

まず、フェズ駅前に行って運転手がタンジェまで行く許可証らしきものをもらってきた。

町ごとにいかつい制服の保安官殿が道端に立っており、何度もタクシーを止めては許可証提示しなければならないのだ。

フェズ・タンジェの間には大きな山や谷などは特にない。

乾燥した色の濃い赤茶けた大地が続き、ときとぎサボテンやアロエのような植物の茂る丘を通過。

フェズ郊外の赤茶けた山には、大文字焼ならぬ、アラビック焼らしきものを見た。

ときどき町があって、赤い赤いアフリカの大地にやしの木の街路樹。カフェも見える。

北上しながら、丘をいくつか越え、川を越えるたびに緑が増える。

タンジェ近くになって、海に出た。砂浜にラクダが見える。

その空にはフェズの抜けるような青空には全くなかった雲が。

(タンジェはどんな町なのだろう?)

しかし、港を中心に象牙色の箱細工のように広がるタンジェの町を見下ろす目前、

タクシーは方向を変えて、海も港も見えない内陸へ。

僕はすっかり忘れていた。

このタクシーはヒコーキの代替輸送であるため、市街地や港でなく、

内陸にあるタンジェ飛行場に向かっていたのだ。


僕らは、無言のままの運転手から荷物を受け取って、

ただ、次のタクシーに乗りなおすためだけにタンジェ空港に降り立った。





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2010/03/29

ドバイ; アブラ料金での男女差別への反応

メグミと一緒にドバイにやってきた僕。

ドバイの町の真ん中にはクリークと呼ばれる運河(?)があり、アブラと呼ばれる渡し船が行き来している。

「あの船、乗ってみようよ!!」



クリーク沿いのアブラ乗り場に行き、周囲の乗客の様子を見ながらほぼ最後の乗客として、順番に次のアブラに乗り込み、ベンチのような長い板張りの椅子に、二人並んで外向きに腰掛けた。

さて、船頭さんは真ん中の通路を歩きながら、一人ずつ乗客から運賃を取っていく。

金額は50フィルス硬貨1枚。

先に乗った乗客はみんな右手の手のひらにコイン1枚を乗せて、背中側に差し出し、それを背面から船頭さんが慣れた手つきでコインを拾って集めていく、という感じだ。

他の乗客に倣って、僕もメグミもそれぞれコインを乗っけて、背中側に出して船頭さんを待っていると・・・。

なんと船頭さんは、さっと僕の手のひらからコインを取り、そして隣でコインを差し出しているメグミの手を黙った通過した。

「えっ!! わたし、取られなかった!! なんで!!」



どうやら男性と一緒にいる女性は、荷物扱いされ、料金を取られないらしい。女性はおひとり様で乗るときに限って料金がいるのである。

(きっと、『これは差別だ』とか、一言文句をこぼしそうだな・・・・)

ところが、メグミの反応はこれとは違っていた。

「そうかぁ。私の分はタダ!! 得しちゃった!!」

どうやら差別感よりもお得感の方が強いらしい。



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2010/03/27

『支店』の存在意義を語るアメリカ人

部屋の片付けをしていたら、以前に地方に住んでいた時に使っていた、ある地方銀行の通帳を発見した。

東京にいて地方銀行の口座なんて要らないから、その地方銀行の東京に一つしかない支店に出掛けていき、窓口に並んだ上に申し出た。

「すみませんが、この通帳の口座を解約してください」

すると窓口係のおばさま、

「口座解約のお手続きは、口座作成された支店でしか出来かねます」

「は?、引越して東京に戻ったから、ここに来てるんだけど」

「恐れ入りますが、口座のある××支店へお願いします」

かくて平日昼間の貴重な時間を使った僕の銀行訪問は徒労に終わった。


この話をアメリカ人エクスパットのRにしたところ、Rはこんなことを言い始めた。


「そもそも支店っていうのは、その会社のサービスをどこでも同じように提供するために存在するものだ。」


「・・・うん」

「一部サービスは地方の、その特定の支店にいかないとできないというのなら、その銀行は東京に支店を置いている意味がないんじゃないか?」



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2010/03/25

英国でセミは歌うか?

ある時にふと気になった。

「セミが鳴く」にあたる文を作るときに、フランス語では、「鳴く」に当たる動詞に

"Chanter"(=歌う)を使う。

つまり、フランスでは、

『セミは歌う』

のだ。


(うーむ・・・・フランスでは、セミは歌うのかぁ・・・)

オスのセミが、メスへの求愛に歌を歌っているイメージ

で、ふと、疑問に思った。

(英語でセミは歌うのだろうか?)

ググってみて、意外なことを知った。

そもそもセミは熱帯系の昆虫であり、南仏以外の欧米人はセミという虫をあまり知らないらしいのだった。

Wikipedia 「セミ」 ページ下部の「欧米での扱い」という項をぜひ見てほしい
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%9F



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2010/03/23

日本のご飯に疑問を持ったマレーシア人

あるとき、秀才肌のインド系マレーシア人のRをランチのため和食の店に連れて行った。

テーブル席を選んで座り、真ん中のお箸立てから割り箸を取って渡しながら聞く。

「フォークは要る?」

「いや、慣れてるんだ。お箸でオーケーだ。」

松花堂のような御膳を食べながら、ふと見るとRがご飯と格闘している。

「大丈夫か?」

「ああ、問題ない。」

そういいながら、Rは右手にもの凄い力を入れてご飯の塊にお箸を突き刺してもがいている。

「スプーンをもらおうか?」

すると、Rはとんでもないという感じで右手を挙げて制し、

「いや、大丈夫。お箸でオーケーだ。」

といい、そして言い訳するように続けた。

「このご飯はどうしてこんなにくっつきやすいんだ?」




関連:カリフォルニア・ライスと箸の関係




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2010/03/21

『パン』を『サンク』、お願いします

学生の頃、僕は渋谷のフランス料理店でウェイターのバイトをしていた。

その店では新入りバイトには、まずカタカナのフランス単語メモが渡され、ウェイターは客から取ってきた注文をフランス単語を使いながら厨房に伝えることになっていた。

例えば、

「『ソルベ』を『ドゥー』お願いします。」

と言ったなら、それは『シャーベット2つお願いします』、という意味である。

さて、僕が入った次の日のこと。

ホールに立っていた僕は、ある5人客テーブルの一人から呼ばれた。

「すみません。パンのおかわりをもらえませんか?」

「かしこまりました。」


僕はポケットから単語帳を取り出して見ながら、言うべきセリフを確認した。

 (おかわりのパンを5つ頼むには・・・・)

「えーっと、すみません。

 『パン』を『サンク』、お願いします。」


するとベテラン・シェフが首を出してきた。

「なに? パンを三個?」

「ち・が・い・ま・す!!

 パンを、『サンク』、です!!」


一体、何をやっているんだか・・・。



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2010/03/19

正しくナンをちぎろうとして失敗する

ある時のこと。

コンサルのYさんと一緒にインド・レストランに入って食事をとることになった。

二人ともチキン・カレーのセットを注文。しばらくすると、カレーとサラダ、それにできたてのナンが一枚、金属のトレーにのって出てきた。

ふとYさんが言い出した。

「昔、インド人の知り合いにナンの正しいちぎり方っていうのを習ったんですよ。」

「ナンをちぎるのに正しい方法なんていうものがあるの?」

と両手でナンをちぎりながら聞く僕。

「あるんです」

「どうするんですか?」

「ほら、今やってるみたいな風に両手を使っちゃダメなんですよ

 彼らは右手だけでで食べるんですよ」

「確かにね。インドに旅行したことがあるが気がつかなかったなぁ~。

 オーケー。でもさ、ほんとにナンって片手で食えるのかな?」


「できます。」

「じゃあ、教えてくれる?」

さすがはコンサルタント。なんでも知っていると見える。

「まずですね。右手の人差指と親指で、ナンのちぎりたい部分をつまみます。

 もちろん、それだけじゃあ、ちぎれないですよね。」

「うん、それで・・!?」

「このプレートの端の部分にナンをおいて、小指の側面を上から押さえるんです。」

「・・・・?」

「つまり、ナンを右手小指の外側でプレートの端に上から押さえつけながら、

 右手人差指と親指でナンをつまんで、上に引っ張りながら引きちぎるようにします。」

人差指と親指でナンをつまんで上に引っ張る・・・全く慣れない指の筋肉の動きである。

「・・・えっ、難しい!!  全然力が入らない!!」

で、ナンを引きちぎるのに小指側面でしっかりとナンを上から押さえる・・・・

「アチッ!! アチチチチ!!

 ナンが熱い!! 

 指が、指が・・・!!」


上から押しつけてナンの内部に小指側面のやわらかいところが食い込んだ瞬間、思わず声をあげてしまった。

動き慣れない方向に精いっぱい指の筋肉を使っていて、つりそうな上に、普段全く熱い食品に触れない小指付け根の皮膚がナンの熱さにぜんぜん耐えられない。

(こんなことは、とてもナン一枚分続けられそうもない・・・)

インド人達はきっと、右手の指筋肉がとても発達し、かつ、小指の付け根にはナンダコが出来ているに違いないのである。




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2010/03/17

パンを投げつける女

先日、通りすがりにサンドイッチ屋“Subway”を見つけた。自動ドアを入ってすぐの注文カウンターの前で何を注文するか、ぼんやりボードを眺めていると、

カツカツ

客席ゾーンから白いコートのお姉さんがヒールを響かせて僕の後ろに来たと思ったら、

バン!!

お持ち帰り用にラップされた“Subway”の袋を無言で注文カウンターに向かって力一杯投げつけ、

ドサッ

銀色の冷蔵庫のドアにたたきつけられた袋は床に落ちた。

驚きの表情を浮かべ、一言も発することのできない店員さん。

カツカツカツ

白いコートのお姉さんはそれを見て何も言わないまま、自動ドアを開けて出て行った。

(今のはいったい何?・・・)

僕は声の出ないまま、絶句したままの店員さんと目が合い、そして一瞬、気持ちが通じ合ったような気がした。



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2010/03/15

外国人の食事制限を関西人に混乱させられる

あるとき前日に連絡を受けて、急に外国人ビジターの訪問を受けることになった。翌日夜にはレストランにご案内するご用ができてしまった。

そのビジターは今は大阪オフィスで会議をしている最中とのことだったので、大阪で会議に出席しているWさんにメールで問い合わせた。

「会議中すみません。

 そのビジターに食事で何か食べられないものがないか、

 聞いてもらえませんか?」


するとしばらくして、大阪オフィスのWさんからメール返信があった。会議中にこっそり打ったメールらしくたった一行。

「肉が食べられないみたいです。」

うーむ。肉が食べられない・・・か。イマイチよくわからないなぁ。

豚がダメ、牛がダメとかではないのだな。つまり、ベジタリアン?

もしそうなら、寿司も刺身もアウトだし、カツオ節も、煮干しダシもダメになる。

仮に和食はヘルシーではあったにしても、日本という所はベジタリアンにはかなり住みにくい国である。

以前のエピソード 「インド人もびっくり」とはこういうこと

(うーむ、どうしよう・・・)

僕はかなり迷ったあげくに、とりあえず和食系の店に電話を入れてまずは席を予約させてもらい、夕方になって大阪での会議が終わったころに僕はWさんに直接電話をかけてちゃんと確認することにした。

「あのー、さっきのメールでは

 『肉が食べられない』ってことだったんですが、

 豚がダメとか、牛がダメとかではなくてですか?」


するとWさん、事もなげに一言。

「あ、関西で 『肉』 言うたら、牛肉のことですわ」



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2010/03/13

英国人"Don't Panic"を示す数値?

先日、“Neither here nor there”というアメリカ人Bill Brysonの本を読んでいるとこんなくだりがでてきた。(ちなみに以前にコメント記入からChikiさんに勧めてもらった本である。)

「スウェーデンではそのナショナル・スポーツは自殺である。」

人間は日光にあたらないと気分が陰鬱になるし、冬などに鬱になる人に対しては症状改善のために強い光にあたる「光療法」なるものがあるとも聞く。

高緯度のスウェーデンでの自殺率は本当に高いのだろうか?

医学的にも根拠のあることだから高緯度の国で低緯度の国より自殺率が高くなるはある程度、外部要因であってしかたがないかもしれないと思いつつ、Web検索するとこんなサイトがあることがわかった。

Wikipedia 国の自殺率順リスト

少なくともこのリストを見る限り、「スウェーデンではそのナショナル・スポーツは自殺である。」などというのはスウェーデンに失礼だろう。

むしろ緯度から判断するに、日本の自殺率の高さの方がよっぽと不自然だ。

ところで、このサイトの地図と国別データを見ながらふと気がついた。

比較的高緯度でハンデのあるはずのイギリスの自殺率ランキングは決して高くない。

なぜなんだろう?

ふと"Don't Panic"という英国人特有のセリフが心に浮かんだ。

英国人は取り乱して自殺したりなどしないのか、

それとも自殺を発見した英国紳士は取り乱すことなく、落ち着いた故人の名誉を守るのか?




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2010/03/11

マレーシア人 vs シンガポール人の言い争い?(その2)

さて、その翌日のこと。

シンガポール人のJ男と、マレーシア人Sさんとの会議に入ると、まずJ男が雑談のように切りだしてきた。

J「昨日のタクシーは大丈夫だったか?」

僕「ああ、問題なかった。」

J「タクシーの値段はどうだった?」

僕「う・・・ん。リンギットの感覚がないからあんまりわかんない。

  料金メーター回っていたしね。」

J「タクシーなんて、値段交渉したらいいんだ。

  メーターなんて関係ない。」


ここでたまらず、マレーシア人Sさんが入ってきた。

S「ちょっと待ってよ。

  メーターを無視して、値段交渉するのはこの国では違法行為よ。」

僕「えっ、そうなの?」

J「そんなの全く問題ない。

  ここはシンガポールと違うからね。」


S「何言ってるのよ!!

  あなたみたいな人がいるから、そういうことが問題になるのよ。」

J「オレがやらなくても、みんなやってることじゃないか!?」

S「・・・・・」(言葉につまっている)

どうもタクシーの話に限らず、いろいろな話をしていくとマレーシアに分が悪い。なんだかんだといってもシンガポールは東南アジアの「首都」であり、シンガポールを責めるのは難しいようだ。

それにしてもこの二人は二人とも華僑である。

華僑であっても愛国心は強いのだなぁ、と再認識した次第です。



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2010/03/09

マレーシア人 vs シンガポール人の言い争い?(その1)

あるとき、クアラ・ルンプールのオフィスを訪問したときのこと。仕事が終わってホテルの帰るためにタクシーを呼んでくれることになった。

マレーシア女性(華僑)のSさんが手配をしてくれることになった。

「それじゃあ、タクシーを呼ぶわね。」

「はい。お願いします。」

ところで、たまたま通りがかったシンガポール人(華僑)のJ男がちょっと冗談めかして絡んできた。

「ここはマレーシアだからなぁ~。タクシーは来ないよ~。」

すかさずマレーシアの誇りをかけてSさんが言い返す。

「そんなことはないわよ。マレーシアでもちゃんとタクシーは来ます。」

「夕方のクアラ・ルンプールではタクシーは1時間たってもなかなか来ないよね~。

 シンガポールなら、いつでもタクシーは5分で来てくれるよ。」

「いいえ、マレーシアでもちゃんとタクシーは来ます。」

だんだん言い返すSさんの口調もきつくなってきた。

それをJ男はさらに挑発するようなことをいいだした。

「なんといっても、シンガポールはマレーシアの一部ではないからねぇ~。」

「今はね。でも昔はシンガポールも、マレーシアの一部でした!!」

「でも、今は違うんだよね~。タクシーも来るしね。」

「マレーシアもタクシーはちゃんと来ます。

 そういう人ばっかりだから、シンガポールにはマレーシアから出て行ってもらったんだわ!!」


口調も激しくなってきたし、こうなると日本人の僕としてはうかつに口出しできない。

とはいえ、二人で繰り返しているいつもの会話のようにも見えるし・・・。

ようやくタクシーが到着してこの微妙な雰囲気から退出できたのは、これより30分も後のことなのだった。



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2010/03/07

タイ人を惑わす前クンと後クン

あるとき、会社のビジターとしてタイ人のワタナポン(仮名)を含めたいろいろな国籍の人が会議のためにやってきた。

タイ人のワタナポンは、日本の大学を卒業しているので日本語もぺらぺらである。

会議が終わった夕方、僕は彼らビジター全員を居酒屋に誘った。

以下はそのときの飲み会での酔っ払いな会話。

「ところで、タイ語で『さん』ってなんて言うの? 例えば、『ワタナポンさん』って言うときの『さん』」

「あー、それはですねぇ。『クン』です。」

「えっ??? 日本語の敬称『さん』はタイ語の『クン』!!」

驚いて叫ぶと、ワタナポンは丁寧に説明してくれた。

「日本語の『さん』と違って、タイ語の『クン』は名前の前につけます。

 例えば、日本語の『ワタナポン さん』は、

 タイ語でいうときは『クン ワタナポン』となります。」


これを聞いた酔っぱらった日本人Nさんが呼びかけた。

「クン ワタナポン 君!!」

「はい」

(これはおやじギャグだ・・・)

すると別の日本人Kさんがまぜっかえす。

「いや、それは違うだろ!!

 『クン ワタナポン』か『ワタナポン クン』のどちらかだ!! 」


「クン ワタナポン クン!!」

「はい」

「いや、だからそれは違う!!

 『クン ワタナポン』か『ワタナポン クン』のどちらかだ!! 」


神妙に返事してくれているワタナポンがちょっと気の毒なので僕は間に入って言ってみた。

「まあ、本人に聞いてみましょうよ。

 本人としては『クン ワタナポン』と呼ばれるのと『ワタナポン クン』と呼ばれるのとどちらがいいですか?」

ちょっと考えて、ワタナポンはきわめて遠慮がちにこう答えた。

「あのー、ワタシはどちらでもいいです。」



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2010/03/05

モロッコ; ヒコーキの替わりにタクシーに乗る(その3)

フェズ近郊の下町を出発したタクシーは再び広い道路を走り始めた。

(今度こそ、タンジェに向かって走り始めたに違いない)

と思ったのだが、実はそうではなかった。

しばらく見覚えのある道を走りつづけ、そしてタクシーは今度はその日の早朝に、プチ・タクシーで乗り付けた、グラン・タクシー乗り場に到着。

"◎△&◆$●%▽#"

運転士は、何かを一言女の子に告げた。

そして、助手席の女の子も含めた乗客3人全員を停止したタクシーの中に残して、運転手はドアを開けて出て行ってしまったのである。

(今度はいったいなんだ?)

今度は、僕らはフロントガラスを通じて、運転手がグラン・タクシー乗り場で待機している仲間の運転手達と立って談笑しているのを無言で観察することになった。

その間、約10分。

確かに運転手にとっても、このタンジェ行きは急に決まった予想外の仕事であり、しかもタンジェのような遠方までドライブするのは、先に仲間に告げておくべき、稀かつ危険な任務であるのかもしれなかった。

そう、女の子がわざわざ自宅に寄って母親に途中経過と無事を知らせたのと同じような、そんな同じノリである。




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2010/03/03

たたき上げ副社長の語る『経営の本質』とは?

今は昔、日本企業にいたころ会社で『デキルが人望がない』という評価のあった老副社長がいた。

あるとき、そのたたき上げ老副社長が何かの会議で皆に教えるようにしみじみと語ったことがあった。

「キミ、『経営』というものはねぇ~・・・プライオリティーの問題だと思うんだ。」

なぜかこの言葉は、当時の僕にはとても印象に残るものとなり、このセリフはその場でそのまま僕の胸にしまわれた。

しか~し。今思い起こしてみてこのセリフを聞くと、こう感じるのだ。

「そんなの、あったりまえじゃん。」

外資で、経営陣としてやってくる人のジョブ・ディスクリプション(職務記述書)に記載されているはずのロール(役割)はズバリ、経営資源(リソース)配分のプライオリティーを決めることである。

「会社の経営者の行う役割は、人・モノ・金の経営資源を何に使うのかというプライオリティーを決定すること。」

これは欧米人から見ると、教科書に書いてあるレベルの自明のこと。

たたき上げ老副社長が数十年の努力の末に掴んだ『経営の本質』とは、経営学の教科書に書いてあるごくごく当たり前のことに過ぎなかったのだ。



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2010/03/01

モロッコ; ヒコーキの替わりにタクシーに乗る(その2)

タクシーが下町の路地裏に停車したとたん、助手席にいたティーンエイジャーに見える女の子がドアを開けて外に飛び出して走り始めた。

プーッ、プーッ、プーッ

運転手は座席に座ったまま、何かの合図でもするようにクラクションを鳴らしている。

すると目の前の家から、スカーフをつけたおばさんが出てきて、走ってきた女の子を迎えた。

(目の前の家は、女の子の自宅だったのだ。)

クラクションを聞きつけて、近所の家からも次々とスカーフおばさんがやってきて会話に加わっている。

僕らはタクシーの後部座席からフロントガラスを通して、女の子がヒコーキが飛ばなくなって替わりにタクシーで行くことになったのよ~、などといったストーリーを話し、母親や近所のおばさまたちにそれに対していろいろとコメントをしている姿を無言のまま運転手と一緒に観察した。

約10分後、女の子は手を振り振りタクシーに戻ってきて助手席に座り、再び出発となった。

予定外のタクシーは、おばさま達に数日分の井戸端ネタを提供したに違いなかったのだった。




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