2009/11/29

行と列についての混乱

普通、日本の国語教科書は縦書きである。

学校では、先生が生徒を指名して立たせ、

「はい、次の行から読んで」

などと言ったりする。

このとき、「行」の向きは縦書き国語教科書の様式に従って、当然タテである。

が、思うに、これが混乱の元なのだ

西洋言語での「行」(="row")とは左右方向のものを表すのである。

これがために、僕は高校数学の「行列」で常にタテヨコどちらが「行」で「列」なのか混乱しつづけ、

数学に縁がなくなった今でも、隣からパソコンに開いたエクセル画面を覗き込まれながら、

「ここにカラムを追加してくれ」

などと言われると、いつも一瞬、タテかヨコか、考えてからでないと次の行動に移せないのである。



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2009/11/27

外人上司におごってもらったら

あるとき上司の英国人Nにランチに行こうと誘われ、レストランへ出かけた。

レジでNは僕の分まで支払ってくれた。

今でも僕のメンタリティーは日本企業のままなので、僕はNに日本語で

「ごちそうさまでした」

とお礼を言い、Nもこの程度の日本語を理解できるので

「ドウモ」

と答えてくれたのだが、ふと疑問に思い尋ねてみた。

「あのさ、こういうときに英語では、何と言う?

 以前にUKで職場ディナーに参加したときに、ボスのAが支払ったときに誰も

 サンキューとか言っていないのを疑問に思っていたんだ。」

するとNは、ちょっと考えてこう答えた。

「・・・・

 仕事で上司が支払うのは仕事の一部だし、費用も会社持ちになるから、

 普通わざわざ何も言わないな。」


「じゃあ、個人のサイフから、わざわざおごってくれたときはなんて言う?」

「そうだな、そういう場合は一言

 『サンキュー』

 と言うな。」




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2009/11/25

グランド・バザールと現銀掛値無し

イスタンブールのグランド・バザールは、屋根付き市場である。

が・・・、歩いているのは外国人ばかり。ここでは絨毯とかのみやげものが売られているのであって、観光客をカモにするところなのだ。

「カモ」がくると、両脇からたちまち国籍を認識して声がかかる。

「コンチハ、アリガト」

「ミルダケタダネ」

「アナタ、ビンボウ? ビンボウ・プライス、アゲルネ」

はい、貧乏です、なんて思わず振り返って返事をしてしまいそうだ。


1.商談開始
 土産物になりそうな木の箱をちょっと、さわってみる。
 概念的には、客として何に興味をもっているのか示し、交渉開始となる。

2.プレゼンテーション
 すると店員が寄ってきて説明してくれる

 「コレ、ハンドメイド、ネ」

 ここで、商品がいかに優れ、製造が大変なのかを説明してくれる。
 これが究極に進化したのがカッパドキアでみた製造工程見学ツアーなのだろう。

3.見積要求
 「ハウマッチ?」

4.見積提出
 「US 20ドル」

 ついでにここで、「ビューティフル・ワークなどと言って、商品を自分でほめちぎる」

5.値引き要求
 「ディスカウント・プリーズ!!」

6.通常値引を提示

 「オーケー。アナタ友達ネ。

  コレ、アメリカ人、20ドル。

  アナタ友達、15ドル。5ドルタダね。

  コレ、ハンドメイド、ビューティフル。アナタ、トクネ。」

7.特別値引きを要求(=カウンター・オファー)
 ここでは絶対に数字を出さなくてはいけない。電卓に打つのがベター。

  電卓に7ドル とか押して出してみせる。

8.店側回答

 受けない場合は、基本的に同じ回答がなされる。

 「コレ、ハンドメイドネ。ホントは20ドル。

  アナタ友達、15ドル。5ドルタダね。」

9.商談不成立
 客は、特別値引きに対して店側が応じてくれなかったのを理由に、立ち去ることができる。

 「トモダチ!! アナタ!!

  ワタシ、キズツキマシタ!!」

 などと言ってくるが、彼らは決してキズついてなどいない。


個人別に需要と供給で価格が決定されるプロセスが忠実に実行されている、とも言えるが、いったい中東全体で毎日毎日、価格ネゴに費やされている時間と労力は大変なものである。

これでは一物一価であることを前提とした便利さは享受されないし、ネゴ上手二人がいくら上手にネゴしあっても、打ち消しあうだけでアウトプットは増えない。

これがカルチャーなんだろうなぁ・・・とも思うのだが、江戸時代に越後屋の始めた「現銀掛値無し」みたいな商法・商店は中東には出てこないのだろうか、と考えざるを得ない。

三越ホームページ・「現銀掛値無し」
http://www.mitsukoshi.co.jp/corp/history_qa.html



トルコシリーズ終了


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2009/11/23

Go/No Goディシジョン

外資で働くようになって、初めて目にしたものにGo/No Goディシジョンというものがある。

Go/No Goとは、プロジェクトなどを実行するにあたって、ある程度途中まで進めてから、改めて予定通りやるのか、やらないのかを再び意志決定する会議などを持つことである。

このGo/No Goは既にやることが決定されているプロジェクトのスケジュールに今後の予定として出て来るのだが、初めて見たときには奇異に感じたものだ。

既に実行の意志決定が下されているのに、なぜもう一度、Go/No Go検討するのか?

日本企業的な考え方では、Go/No Goで中止となった場合、最初にやると決めたときの検討が不足だとされたり、最初の決断が間違っていたということになりかねないので、それを避けるために、意思決定前によ~く具体的な詳細計画を詰めてから意思決定するプロセスを踏むのだが、どうも外資では異なるようだ。

そもそも、外資では詳細を詰めようにも、それ自体を「仕事」として誰かに任命しないと、計画詳細を詰めることができないため、一旦、実行の意思決定を行った上で、明確な仕事として関係者に計画詳細を詰めてもらった上で、ようやく内容が具体化されるのだ。

だから、外資では必然的にGo/No Goが必要であり、関係者も結果としてのNo GOを素直に認めることができるのだろう。

逆にそういう意味では、日本の大企業ホワイト・カラー部門では「やるのか、やらないのか」未確定な段階から、「本来の仕事」かどうか疑問とも思える内容であっても、相当人数の関係者がそれぞれ引き受けて詳細な検討・根回ししている、ということになる。

もし、「官僚的」という言葉が予測不能な将来について先見できるかのように振る舞うことを要求する、ということを意味するのであれば、日本の大企業の経営陣はガイジン経営者よりもより「官僚的」であり、こうした無理を部下に要求しつづけた結果が、日本の非効率的なホワイトカラー生産性なのだとすると、まず必要なのが「誰かがまとまった作業をしない限り、詳細な計画検討結果は得られず、その実行には必ずリソースが必要である」、というあたりまえの認識なのだろう。

もっとも、「実行にはリソースが必要で、コストがかかる」という前提自体が外資的すぎるかもしれない。こうしたことは、サービス残業で対応させている分にはいくらやってもタダだからだ。

そうして見ると日本企業ホワイトカラー部門の最大の不幸は「社内検討はタダだ」と経営陣に思われておる、ということに違いないのである。



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2009/11/21

日本企業での長期療養と雇用保険

スコットランド人・エクスパットのルーニーは、日本の会社でのお休み(つまり有給休暇)には、病気のときには使わなくても良い、と本気で信じていたものだ。

あるとき、

「日本人はなぜ年次有給休暇を全部使い切らないのか?」

というエクスパットらしい質問を受けて、僕はこのように答えた。

「病気になったときのためにという意識もあって、年次有給休暇を少し取っておくのが普通だ。」

するとエクスパットのルーニーは、マジな顔をしてこう言ったのだ。

「病気のときには、有給休暇は使わないだろう!?」

日本の会社は人事制度が欧州企業とは違うのである。

ところで、先日ビジターとしてやってきたフランスで働く英国人Rと上のような同じ会話を行ったところ、英国人Rはこんなことを言い出した。

「フランスでは病気で仕事ができなくなると国の保険でお金が支払われる。

 だから、休暇も使い切る。

 日本では病気で会社に出てこられなくなったら、どうなるのか?」


そこで、僕は以前に日本企業にいたころに、病気で長期に出勤できなくなった先輩のことを思い出しながら答えた。

「最初は有給休暇を使い切って・・・それから大企業だと人事がいろいろしてくれて、しばらくは給料がでるけど、あまりに長期になると、給料も出なくなる。。。かな!?」

「そうか、フランスではさっき言ったように国の保険があるから大丈夫だ。」

「・・・・・」

この会話、どうも何かがひっかかる・・・・。

翌日になってようやく、僕は英国人Rとは話の前提があっていないのではないかと思い始めた。

(フランスで病気になって、長期にわたって働けない場合にでる国の保険、っていうのは失業を前提にしているんじゃないか?)

もしそうなら、日本にも国の制度として「雇用保険」がある。

となると、英国人Rとの間で、話の前提が合わなかった内容というのは、

「日本では給料が出なくなるほどの長期療養になっても、必ずしも会社をクビにならない」

ということなのだろう。



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2009/11/19

人格から技能を切りだしてしまうスキル

外資の関係者でキャリアの話をしていると、すぐに「スキル」っていう単語が出てくる。

こういう場合の「スキル」っていうのは、当然、英語の"Skill"であり、何らかの技能のことなのだが、どうも通常の日本語でいうところの「技能」とは、どうもニュアンスが違う。

日本語で「技能」っていうとそれこそ特殊な技術、特になかなか取得できない資格なんかを思い浮かべてしまうのだが、外資系キャリアを語るときの「スキル」にはもっといろいろ広く含まれる。

この差を表すために古風な日本企業での会話と、外資な会話とを並べてみる。

例えばこんな感じ。

1.職場の同僚とうまくやっていけない場合

 日本の会話
  「対人関係がダメ」

 外資な会話
  「コミュニケーション・スキルが足りない」

2.部下とうまくやっていけない場合

 日本の会話
  「部下を使えない」

 外資な会話
  「コーチング・スキルが足りない」

表現方法が違うだけと言われるかもしれないが、実はこの差は意識の上では大きい。

コンセプトとして、「スキル」というのは単なる習得可能な技能に過ぎないから、

「×××・スキルが足りない」

と自己認識しても何ら恥ずべきことではなく、むしろ、次のキャリア・アップのステップとして、

 「△△△・スキルの研修(トレーニング)を受けようと思います」

というとっても前向きな展開を堂々と語ることができるのである。

つまり、「スキル」っていう魔法の言葉を使うことで、仕事に必要な技能のみを切りだして、自分の人格から区分して考えられるようになるわけだ。

職場の人間関係がうまくいかないと思われている方は、まず、「コミュニケーション・スキルが足りない」と自分に言い聞かせてみましょう。

そこでついつい自分で、

「そんなの屁理屈だ!!」

と切って捨ててしまうのは実は日本人的発想なのではないかと思うし、それに屁理屈で前向きになれるのなら、それで良いではなかろうか?

ガイジンと屁理屈についてはこちらも
 フランス料理は「ばっかり食べ」か?



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2009/11/17

フランスの給食はまずいか?(その2)

前回、フランス人を相手に給食はまずいかというアンケートを行ったときの結果を説明した。

でも、アンケートの結果にかかわらず、僕自身はおそらく「フランスの給食はまずくない」と解釈している。

なぜか?

全くの偶然だが、当時、僕は日本の会社の寮に住んでおり(現地妻のジハードと同時期の話)、たまたま寮委員なるものをやらされていた。

そして、あるときにある寮生から

「寮食堂(の料理)がまずい」

というクレームが出たため、僕を含めた寮委員3人で寮食堂の改善を目的として

「寮食堂はまずいか?」

というアンケートを行ったことがあったのだ。寮生70人にアンケートを配って回収した。

その結果

・寮食堂がまずい

と回答した人がほとんど。

一部に、

・寮食堂で食べていない

という者もいた。ここまではフランスの給食とほぼ同じ結果。

さて、寮食堂のアンケートでは食事の改善をしないといけなかったので、まずいと回答した人には、改善すべき内容を明記してもらった。その内容を列挙するとこんな感じだった。

・もっと肉を増やしてほしい

・味が薄い。もっと塩味を濃くしてほしい。

・朝食のおかずが不要に多すぎる

・塩味が濃すぎる。特に味噌汁が煮詰まっている。

・魚料理の回数を増やしてほしい。肉料理の比率が高すぎる。

・朝食には卵くらいつけてほしい


などなど・・・・

開封・集計しながら、僕ら寮委員3人は頭を抱えた。

『まずい寮食堂』の改善のために、100円くらい値段がアップしても良いという点には見事にコンセンサスを得られたのだが、何をどう「改善」するのかについては、矛盾する逆方向の提案が次々と発見され、味覚の面では、何一つ「これを改善すれば全員納得」という点が見出せなかったのだ。


結論;

人が、給食や寮食堂など強制的に食べざるを得ない料理について『美味しくない』と言う場合、それは『味が悪い』のではなく、おそらく『自分の家と味が違う』、ということを意味するに違いないのである。





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2009/11/15

フランスの給食はまずいか?(その1)

あるとき、大人のフランス人を相手にアンケートを行うことになった。

質問の内容

「あなたが子供のころ、学校の給食はおいしい思っていましたか?」

約30人くらいの大人のフランス人から回答を得た。ちゃんとデータが残っていないのでここに示すことはできないが、結果として得られたコメントの多くは下記のような内容だった。

・うえー、まずい!!

・とにかくおいしく無かったと記憶している。


とにかくフランス人に『給食がおいしかった』、と回答した人はほとんどいなかったのである。

そして一部に、毎日、家に食べに帰っていたので給食を食べたことがない、などという人もいた。

果たしてフランスの給食は本当にまずいのだろうか?





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2009/11/13

「日本の薬」を買い込む台湾人

あるとき台湾のえらい人が日本のオフィスにやってくることになった。

事前準備のためにメールのやりとりをしていたら、

「すまないがワタシのプライベートなことに協力してほしい」

と言われ、なんだかわからないうちに、OKの返事を返したら

「時間があまりにないので、ワタシの買う予定にしている薬を買っておいてほしい、お金はちゃんと払うから。」

というメールが届いた。

そのメールによると買っておいてほしい薬がリストアップされ具体的に書いてあった。

 ・メンソレータム  6コ
 ・メンソレータムAD 6コ
 ・△△胃腸薬     8コ
 ・整腸××××      8コ

 などなど


まあ、そんな大変そうなことでもないので、とにかく薬局にいって確認。

「メンソレータムのADっていうやつはありますか?」

「はい、ありますよ。」

「ADっていうのは普通のと違うんですか?」

「ええ、かゆみとかにも効くタイプのメンソレータムなんです。」

とにかくそれらの薬を指定の個数買うと金額も大きさも、相当な量になった。しめて約3万円。

おかげでポイントは一気にたまったが、こんなに大量の薬をどうするつもりなんだ、あの人・・・。

さてその人の訪問当日。

会うなりさっそく、僕が買っておいた薬一式を渡すとその台湾人のおじさんは言った。

「いやぁ~どうもありがとう。

 ワタシの両親は戦前の日本語教育を受けていますから、日本語は読み書きも含めてネイティブレベルです。

 そうした背景で、両親は今でも日本の薬を大変に信用していましてね、おかげさまで親孝行ができます。」


(なるほど、そういうことか・・・。ん!? でも、メンソレータムって『日本の薬』か?)

そこで台湾人のおじさんが鞄に多数の薬をしまうのを手伝いながら、こっそりメンソレータムの箱の裏を確認した。そこにはこんな内容のことが書いてあった。

『米国メンソレータム社のライセンスを受けて製造・販売しています。』

(何だ、メンソレータムって、ぜんぜん日本の薬じゃないじゃん!!)

しかし、そう思った次には、もう一人の自分が心の中でこうつぶやいた。

(大丈夫。ご両親は日本語の読み書きが完璧なんだ。それも十分わかってるさ。)

僕は一人納得して、大きなお土産を抱えて満足げに帰る台湾人のおじさんを見送ったのだった。



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2009/11/11

ブルガリア・リラの町

リラの町はとにかく静かでのどかだった。リラはアルファベットでは"Rila"と表記する。

・道端でヤギを抱える子供

・馬車に乗るおじさん

・家々の軒にはぶどう棚

そして、ある家の煙突の上には、なんとコウノトリが巣を作っていた。



リラの町はとにかく静かでのどかだった。

僕は無言で車の窓に貼りついて、消えていく静かでのどかな町を見送った。




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2009/11/09

ブルガリア・「レストラン・リラ」

リラの僧院を出て、山を降りるとそこはリラの町。

マリアさんによると、リラの町には一軒のみレストランがあり、昼食にそこに行くという。

写真右手のビルがそれであり、車から見る限り屋根が傾斜していない唯一のビル的形状の建物だった。




入口をはいって、案内されたテーブルは屋外の川べりのテーブルだった。

もちろん、というべきか、他の客はいない。



メニュー
・白チーズのかかったショプスキ・サラダ
・羊の腸のスープ
・ますのフライ
・パンケーキ
・紅茶

羊の腸とは、どうやらスープの中に白いひだひだの物体のことらしい。
スープを食べ終わると、マリアさんが言った。

 「あなたはこれを食べた初めての日本人です。」

まあ、料理の話はどうでもいい。それよりもこの席から見える風景はこんな感じ。



聞こえてくるのは川のせせらぎだけだった。

お日さまの下で、山をバックに、のんびり食事。

僕には世界遺産「リラの僧院」よりも「レストラン・リラ」のあまりに非日常的な静かな食事の方が深く心に残った。




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2009/11/07

ブルガリア・リラの僧院(その2)

ガイドのアンナさんは、リラの僧院を評して、

「ここはコマーシャルなところだから・・・」

と言ったが、このタイミングでは僕らの他に訪問者はなく、ひなびたとしかいいようのないところだった。

マリアは僧院についての歴史や特徴・見どころなどの説明を一通り終わらせると、駐車場で待っていると言い残し、去って行った。

  wikipedia リラの僧院



リラの僧院では、本堂と塔が真ん中にあり、その周囲をつぶれた五角形の形に周囲を囲む3階建ての回廊がある。

そして、回廊を回っていくとここで暮らしていた僧ひとりひとりのための小部屋が並んでいた。

マリアさんによると、この3階建てはフロア毎に建築材料を変えており、それは主として重力軽減の目的によるものだ、ということだった。

つまり、
 三階; 木造
 二階; レンガ造り
 一階; 石造り
のようになっており、上に行く毎により軽い材料でつくられている。

もっとも床はすべてに木でできており、うぐいす張りもいいところで歩くたびにギシギシ音がした。



僕はそのうち三階の回廊を歩きながら、ふと、そのうちにこのフロアには観光客が入れなくなる日が来るのではないか、という気がして、写真を撮った。今もここに入れるのかはよくわからない。



回廊を回って地上に降り、本堂とは別に立っている塔の裏側を見上げた。

何やら壁に縦方向に溝がついている。マリアの言うトイレの跡ということらしい。

塔の正面一階には、写真のような売店があり、イコンなどを販売している。

この寺がもしコマーシャルだというのならば、この売店の存在以外にそうしたものは何もない。




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2009/11/05

ブルガリア・リラの僧院(その1)

リラの町を通過して、車はいよいよ山を登り、そして到着。

ガイドのマリアさんが言った。

「リラの僧院に到着です。こちらへ。」

門をくぐると特にハデにも見えない建物が見えてきた。



しかし、建物の中に入ると、壁も天井もフレスコ画で埋め尽くされていた。



本堂の内部正面は金色で、イコンが並んでいた。

金色の祭器が多数あったり、数々のイコンを整列させて配置させている様子は、高野山などの密教を思い出さされる。



このブログでは、これまで観光地や世界遺産等の写真を貼ることを避けてきた。もっといい写真を載せているブログがたくさんあるので意味がないと思っていたのだ。

が、どう検索しても「リラの僧院」についての日本語の記事・写真はあまり多くない。

なので、古くて質も悪いが、このすばらしい僧院の写真を貼ってみることにしたのである。




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2009/11/03

ブルガリア・「リラの僧院」へ出発

ソフィアでツアーを前日に申し込み、リラの僧院に行くことにした。これは世界遺産らしいのだが、当時の僕はそんなことは知らず、一番面白そうなツアーにみえたので申し込んだだけである。

さて翌日、案の定というか、他の客はなし。

運転手にスーツのおにいさん、これにガイドのマリアさんがついた。

ソフィアを出ると、車はすぐに「田舎」を走りだし、最初の(しかも最後となる)ガソリンスタンドに入り、運転手さんが黙ってセルフで給油した。



すれ違う車も少なく、僕らのようなセダンはさらに少ない。

緑の「まきば」の向こうに頂上に雪のかぶった山々が見え隠れし、ときどき馬車やら、牛やら、羊飼いたちが現れ、通過していった。

途中で、カフェにとまりコーヒー・ブレイク。カフェとは言ったものの、見ての通り看板もない。



もともと、ソフィアでも看板・広告の類をほとんど見なかったが、次第に自動車も見かけなくなり、シンプルな緑の野原に続く舗装道路で、ときおり馬車を追い越す、というようなドライブになってきた。




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2009/11/01

クアラ・ルンプールのカニ料理専門店

ある時、クアラ・ルンプールのオフィスを訪問すると、華僑Jが夕食をごちそうしてくれる、という。

華僑Jは中国的で、しかも大人の風格を感じさせる男であるから、何かしら思惑があるに違いなかったが、とにかくせっかくなのでごちそうしてもらうことにした。

「ワタシのよく知っている、郊外の現地料理店で、しかもカニ料理の専門店です。」

「カ、カニですか~ とても楽しみです!!」

僕としてもこの言葉にウソはない。

夕方、華僑Jの案内で、タクシーに乗ってカニ料理専門店に到着。

「この店には32種類のカニ料理メニューがあります。

 あちらを見てください。」


店内の壁には、ずらりと32種類の異なるカニ料理の写真が掲示されていた。現地料理と聞いてきたが、その多くは中華のようにも見えない事もない。

人間、知識がないまま多くの選択肢を一度に出されると、なかなか選べないこともある。

結局、僕は華僑Jにお勧めカニ料理を選らんでもらった。

さて、

テーブルにやってきた『ペッパー・クラブ』なるカニ料理の一品に舌鼓を打ちながら、僕は華僑Jに持ち続けていた疑問を聞いてみた。

「ありがとう。とても、おいしいです。

 ところで、このカニは何と言う種類のカニですか?

 『上海カニ』とか『スリランカ・クラブ』とかいうカニの種類についてなんですが?」


すると華僑Jはぶっきらぼうにこう答えた。

「カニの種類?  知らん!!

 スリランカではないから、マレーシアのカニだ!!」


32種類のカニ料理を自慢してくれた華僑Jだったが、カニの種類には全く興味がないようだった。


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