ある日、ディナーの席で茶碗蒸しが席に一つずつ置かれたときのことだ。
外資エクスパットのスコットランド人ルーニーがこんなことを言い出した。
「すまないが、これは要らない。」
「茶碗蒸しだよ。おいしいよ。」
「いや、茶碗蒸しは食べたことがあるんだが、実はあまり好きじゃないんだ。」
これを聞いて出席していた日本人が一斉にコメントした。
「茶碗蒸しって、くせがあるとは思わないけどなぁ・・・。」
「おいしいのに・・・」
「意外だ」
それぞれのコメントを聞いたルーニー、何か返事が必要だと思ったらしく、なぜ食べないかの説明を始めた。
「思うんだけど、日本の卵は味が変だ。
なんていうのかなぁ・・・
そう、僕の知っている『本当の卵の味』がしないんだよ。
だから、茶碗蒸しは苦手なんだ。」
それなりにもっともなセリフに一同になんとなく納得した空気が流れた。
「ふーん・・・そうなんだ・・・」
(これではつまらないなぁ・・・)
僕はちょっと考えて、少しイジワルな質問をしてみた。
「じゃあ、ルーニーに確認してみたいんだけど、
日本の卵が苦手だったら・・・、
きっとクレーム・ブリュレなんかも苦手なんだよね?」
するとルーニー、
「あっ、甘いやつは別に問題ないんだ」
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