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2011/05/07

インド・車にしがみつく男たち

ジャイプールからデリーに戻るのにドライバーのLは普通に車を飛ばしていた。

と、野原の真ん中を進む道路の真ん中に人だかりが見えた。



ん、よく見ると車の後部バンパーに足をかけて男が何人も乗っているではないか。



あっちにもそして、こっちにも。

このあたりでは、ごくごく普通のことらしい。

しかも、これらの車は決して低速で走っているのではないのだ。

時速50キロで走るわれわれの車が右側から追い抜いたとき、彼はごく普通に笑顔で見送ってくれた。



じゃあ、お先に~。


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2010/08/28

青いターバンのシーク教徒に丸め込まれる

リクシャの運転手が指さす先の、"Travel Agency"と書いてある商店街の中の小さな店のドアを押して入ると、中はやっぱり旅行代理店で、横長の白いカウンターがあり、その手前に客用の椅子がいくつかならんでいた。

そういう意味では、あやしいところはない。むしろ予想通りだった。

そして、カウンターの後ろには青いターバンをぐるぐる頭に巻いた髭面のがっしりとした男が落ち着いてすわっている。

ターバンしているから、きっとシーク教徒だ。

「どうぞ、おかけください。」

頭の良い、話のできる雰囲気を感じた。とりあえず、示された椅子に座る。

「こんにちは。ワタシは、"シン"といいます。」

「はい。こんにちは。」

実はこの会話にはほとんど意味はない。

名前による差別をなくしていく考え方から、シーク教徒の男性は全員"シン"という名前なのだ。

 ご興味のある方は・・・"シク教の教えと文化"保坂 俊司 をお勧めします。

  wikipedia シク教

「今はインド全土でホーリー(Holi)というお祭りの最中です。

 駅に行っても、列車に乗るためのチケットを買うことはまずできないでしょう?」


「お祭り? 今が?」

「はい。そうです。

 とても多くの人が故郷に帰ったりするのでチケットはどこも売り切れです。」


(日本でいう年末年始みたいな感じか?・・・)

リクシャの運転手の替わりにクレームするつもりで入ってきたはずだったが、こうして会話をするうちに、いつの間にかシーク教徒"シン"さんに丸めこまれ、結局、彼の手配する運転手と自動車で旅行することにしたのだった。

でもこの時、彼の説明したことはおそらく正しかったと思う。

このあとインドのお祭り"ホーリー"の、外国人をも容赦しない『ものすごい迫力』を思い知ることになる・・・。

つづく


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2010/08/21

ジャイプール・ゾウ使いのピッケル

インド・ジャイプールのアンベール城にはゾウがいた。

金さえ払えば、ゾウの輿に乗って坂道を登ってこられる。こんな感じに。


ゾウの背中に載っているのは輿だけではない。輿の前にはゾウ使いがまたがっている。

いったいゾウ使いはどのようにゾウに指図をしているのか?

と思ってみると、ゾウ使いは手に先のとがったピッケルのような金属の棒を持っている。

ゾウ使いはゾウの首にまたがって、ピッケルの先をゾウの首のあたりに刺さるようににひっかけ、行きたい方向に頭を引っ張ることで、ゾウを『操縦』しているのだった。


おつかれさま。

ゆっくり水浴びしてくれ・・・。



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2010/07/11

お前もクシャトリア; カースト図は間違っている?

インド人と話をしていると、ときどき

「お前もサムライ階級の出身か?」

とか、

「お前の階級はなんだ?」

などと聞かれることがある。

一定以上のやりとりが出てくると、階級を知らないと落ち着かないらしい。年長・年少が扱いが大きく異なる韓国人が、妙に年齢を聞きたがるのと同じようなものなのだろう。

もっとも、わざわざそういうことを聞いてくるインド人はたいてい自分のことについては、

「オレはクシャトリア(武人)だ!!」 

などと誇らしげにいうものだ。

実際、僕が今までにあったインド人にはもちろん、

『ワタシはシュードラである』

などと申告してくれた人は一度もいなかったし、わざわざ

『オレはヴァイシャ(平民)である』

と名乗った奴も一度も見たことがない。

なので、こうした身分にかかわる質問を受けた場合、僕はかならず

「もちろん、僕はサムライの出身だ!!」

と断言することにしている。

そうすると、相手は嬉々として教えてくれるのだ

「そうかぁ~、オレもクシャトリアなんだよ~!」

不思議なことにお互いに根拠を聞くこともない。

昔、カースト制度なるものを習ったときに、ピラミッド状の身分制度図を見せられたが、あの図はきっと間違っている。

現実には、身分が下がるほど人数が増えていくような、あんなピラミッド状態では絶対なく、もっと上に人が偏っているのが本当の姿なのだと思う。


サムライ階級の出身


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2010/05/10

リクシャでデリー駅ではないところに連れて行かれる

こうしてリクシャはデリー駅に向けて出発した。



リクシャが走ると、生温かいインドの空気が流れ込んでくる。


ロータリーのような(ラウンドアバウトだ)交差点を二、三回曲がったりしてしばらく走り、そしてリクシャは商店街の一角に停車した。

  ラウンドアバウトについて・・・直進・ブレーキ・半周 !!



そして、運転手はぼそっと言った。

「ここが鉄道駅だ」

ちょっと待て。

確かに僕はデリーの様子を知らないが、目の前にあるのはどう見ても鉄道駅ではない。

「デリーの駅に行ってくれ、といったはずだが?」

すると運転手は目の前の商店に進むように手振りをして、そして決まり悪そうに小声で言った。

「ここが駅だ。」

「ここは駅ではない


すると運転手は困ったように続けた。

「今はホリの最中だから、鉄道チケットはとれる訳がない。」

運転手の指し示す方向を見ると、そこには一軒のオフィスがあり看板には英語も出ていた。

"Travel Agency"

という文字も見える。

つまり、リクシャの運転手はここの主人に言いつけられて旅行代理店に客を連れてきたのだ。

彼はここが駅でないこともわかっているが、ボスと客との間に板挟まっているのが見て取れた。

しかし、「ホリ」とはなんだろう・・・。

目の前の代理店に入って、ドンに直接話を聞かないとどうにもならないように思われた。

つづく



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2010/04/28

デリー駅に行こうとする

昔、留学寮のインド人、アリジットに

「インドに行ったら、必ず一度は列車に乗ってくれ。

 信じてくれ、僕の意見としては、列車に乗らずに本当にインドを知り、

 また、インド旅行を楽しむことはできない。」


と言われたのを僕は長く記憶に留めていた。



一体、インドの列車になにがあるのか?

しかし、困ったことに、ベンガル人アリジットがそのように言って何を説明したのかはすっかり忘れてしまっていた。

その日、僕は朝、ニュー・デリーのホテルを出て、3輪のオート・リクシャを捕まえた。

というより捕まえられた。

リクシャは常に数台はホテルの前に張り込んでいて、逆に乗らない方が珍しい。

ニュー・デリーはとても道路と建物が広々と配置された街であり、ホテルからはどこにも歩いていくようにデザインされていない。

リクシャの運転手に

「デリーの鉄道の中央駅に行ってくれ」

と頼むと彼は

「オーケー」

と一言応えて直ぐにリクシャを発車させた。

僕は

(中央駅に行ってみれば、どんな列車があるか、いつ乗れるのかもわかるだろう)

と考えていた。

つづく



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2010/04/20

ガンジスを運ぶ、マハラジャの贅沢

インド、ジャイプール「風の宮殿」にいく。



この中で世界最大の銀製品といわれる瓶を見た。

形は特に変わったことのないテーブルの上の砂糖壺のような銀の瓶なんだが、大変大きなものでその高さが2メートルもあり、横に人が立って記念撮影をすると、まるで象の前に人が立っているような構図になる。

で、この銀の瓶が何のために作られたのかというと、マハラジャが長期に海外旅行(UK)するのに旅先にガンジス川の水を運んで、それで沐浴するため、だったらしい。

銀の瓶の写真@travelpod

ふーん・・・・

でも、これに水を一杯入れるとして、一体どんな重さになるんだろう?

ほんとに運べるのか? だと、したらどうやって運ぶのか?

旅先でなんども沐浴するだけが目的なら、もっと小さい器に小分けにしたほうがはるかに便利そうだ。

それをわざわざ、大きく一つにして、しかも巨大な銀の器にする、こういうのを「贅沢」というのだと思った。




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2010/03/19

正しくナンをちぎろうとして失敗する

ある時のこと。

コンサルのYさんと一緒にインド・レストランに入って食事をとることになった。

二人ともチキン・カレーのセットを注文。しばらくすると、カレーとサラダ、それにできたてのナンが一枚、金属のトレーにのって出てきた。

ふとYさんが言い出した。

「昔、インド人の知り合いにナンの正しいちぎり方っていうのを習ったんですよ。」

「ナンをちぎるのに正しい方法なんていうものがあるの?」

と両手でナンをちぎりながら聞く僕。

「あるんです」

「どうするんですか?」

「ほら、今やってるみたいな風に両手を使っちゃダメなんですよ

 彼らは右手だけでで食べるんですよ」

「確かにね。インドに旅行したことがあるが気がつかなかったなぁ~。

 オーケー。でもさ、ほんとにナンって片手で食えるのかな?」


「できます。」

「じゃあ、教えてくれる?」

さすがはコンサルタント。なんでも知っていると見える。

「まずですね。右手の人差指と親指で、ナンのちぎりたい部分をつまみます。

 もちろん、それだけじゃあ、ちぎれないですよね。」

「うん、それで・・!?」

「このプレートの端の部分にナンをおいて、小指の側面を上から押さえるんです。」

「・・・・?」

「つまり、ナンを右手小指の外側でプレートの端に上から押さえつけながら、

 右手人差指と親指でナンをつまんで、上に引っ張りながら引きちぎるようにします。」

人差指と親指でナンをつまんで上に引っ張る・・・全く慣れない指の筋肉の動きである。

「・・・えっ、難しい!!  全然力が入らない!!」

で、ナンを引きちぎるのに小指側面でしっかりとナンを上から押さえる・・・・

「アチッ!! アチチチチ!!

 ナンが熱い!! 

 指が、指が・・・!!」


上から押しつけてナンの内部に小指側面のやわらかいところが食い込んだ瞬間、思わず声をあげてしまった。

動き慣れない方向に精いっぱい指の筋肉を使っていて、つりそうな上に、普段全く熱い食品に触れない小指付け根の皮膚がナンの熱さにぜんぜん耐えられない。

(こんなことは、とてもナン一枚分続けられそうもない・・・)

インド人達はきっと、右手の指筋肉がとても発達し、かつ、小指の付け根にはナンダコが出来ているに違いないのである。




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2010/01/22

リトル・インディア; バナナの葉、販売中

シンガポールのリトル・インディアにあるマーケットでこんなものを見つけた。

タミルのインド料理では、お皿の替わりにバナナの葉にカレーやご飯をよそることになっているが、この習慣に基づき、バナナの葉をこのように重ねて、食材と一緒に販売しているのであった。


まあ、よく考えてみればあたり前で、バナナの葉について、これ以外の流通方法はないのかもしれないが、実際に売っているところを見ると、それはそれで新鮮である。

もっとも日本のインド・レストランではまだ見たことが無い。

バナナの葉といえど検疫を通過させる必要があり、もし可能であっても、とても使い捨てに耐える値段にはおさまらないのだろう。



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2009/12/21

クロージングのうまいインド人

あるときシンガポール華僑のKは、インド人一般を評してこんなことを言った。

「インド人のセールスは概してクロージングがうまい。

 先日、うっかり電話を取ったらインド人セールスからの電話で大変だった。

 奴らは、どういう風に話を振っても、しつこくついてくるしね。」


「へーえ・・・」

感心して聞いてると、Kはこんなことを言い始めた。

「ところで、おまえは、ヘビとインド人の話を知っているか?」

「いや、知らない」

「じゃあ、ヘビとインド人の話だ。

 お前は、弾が一発入っている拳銃を持って道を歩いているとする。

 その道端には、ヘビがいる。

 そして更には、向こうからはインド人がやってきた。

 さあ、お前はどうする?」


「どうするって???」

「お前の選択肢は一発しかない弾を使って、

 ヘビを撃つか、それともインド人を撃つか、のどちらかだ。」


僕はたぶん違うのだろうな、と思いながら答えた。

「うーんと・・・ヘビを撃つ」

「ノー。それは不正解だ。

 正解は、『インド人を撃つ』だ。」


「・・・・」

「まだ、続きがある。

 さっきと同じ状況で、今度は拳銃には弾が2発あったとする。

 一発目はインド人を撃つのに使った。弾がもう一発残っている。

 お前はどうする?」


たぶん違うのだろうな、と思いながら答えた。

「じゃあ、ヘビを撃つ」

「ノー。不正解だ。

 正解は、『念のために、もう一度インド人を撃つ』だ。」


「・・・」

「まだ、続きがある。

 同じ状況で、拳銃には弾が3発あったとする。

 一発目でインド人を撃ち、二発目で念のためにもう一回インド人を撃った。

 そして拳銃にはまだ弾が一発残っている。

 お前はどうする?」


僕はこれは絶対違うのだろうな、と思いながら同じように答えた。

「じゃあ、ヘビを撃つ」

「不正解だ。

 正解は、『次のインド人に備えて、その弾を取っておく』だ。」




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2009/10/27

インドにはドリアン無いの?

あるときシンガポールのレストランで、インド人Mとシンガポール華僑Sと一緒に雑談をしていたときのこと。

たまたま食後デザートを食べながら、ドリアンの話題が出たので

シンガポール地下鉄のドリアン禁止

についての話をしてみた。

すると、インド人Mとシンガポール華僑Sともに

「あぁ~、確かにそんな看板あるねぇ~」

という感じでうなづいてくれた。

そこで、インド人Mがいった。

「ドリアンはやっぱり臭いからねぇ~。

 インドにはドリアン無いからね。

 僕も最初のあの臭みを乗り越えるのが大変だったけど、乗り越えたらドリアンはとてもグッドだよ。」


するとこれを聞いて、シンガポール華僑Sと僕とは全く同じリアクションをした。

「えっ!? インドには、ドリアンは無いの? 」

するとインド人M、ちょっとしまったという顔をチラリと見せつつ、でもすぐに取りすましてこういった。

「・・・いや、確かにインドにも南の方にはドリアンはあるよ。もちろん。

 でも、僕は、インドの北の出身だからね・・・・。

 インドの北にはドリアンは無いよ。」



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2009/09/23

インドの意思決定

会社のシンガポール・オフィスで、シンガポール人Sに会い、雑談しているとSがこんな話をしてくれた。

「しばらくずーっとインドに行っていたんだけどホントに大変だったんだ。」

「ふーん」

「インド人っていうのはさ、みんなそれぞれ意見を持っているんだ。

 仕事のやり方について意見を聞くために、職場のインド人10人を集めて会議をやったんだ。」


「いろいろ意見が出たんだな?」

「いろいろなんてもんじゃない。

 インドでは、1つのクエスチョンに対して、10人呼べば、10通りのアンサーが出るんだよ!!」


「へぇー、大変だね」

「そう、大変なんだ。

 会議を続けて一つの意見にまとめようと努力したんだが、全然まとまらない。」


「はっはは」

「しょうがないから、ボスを呼んで来ることになったんだ。

 今までの10通りのアンサーを説明して、どれがいいかボスに決定してもらおうとしたんだ。

 そしたらどうなったと思う?」


「・・・・」

「11番目のアンサーが出てきちゃったんだよ~!!」


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2009/05/10

信じなくてもインドの誇り

あるときに留学寮にいたインド人の友人アーリジットと仏教についての会話をした。

なぜそんな話をしていたのか忘れたがアーリジットがこういった。

「インドには仏教徒はあまりいないんだ。」

「じゃあ、仏教はインド人にはあまり関係ないんだね?」

僕がそう聞くと、彼は首を横に振った。

「いや、そうじゃない。確かにインド人は仏教徒はあまりいないけどね。」

「・・・・・」

「でもね、インド人はみんな、仏教を誇りに思っているんだ!!」



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2009/04/06

ナンはお金持ち用

あるときベンガル人アーリジットといつものようにテニスの後に一緒にフードコートに入って食事をした。

今日の食い物はカレーとナンである。

ナンを食べながら、アーリジットは言った。

「ホントはな、ナンっていうのは金持ち用なんだ。」

「どういう意味?」

「海外のカレーレストランなんかにあるのはこういう柔らかいナンばっかりなんだけど、

 でも、インド国内ではナンよりもチャパティの方が普通だ。」


「どう違うの?」

「チャパティは小麦粉をこねて、鉄板の上で焼くだけ。

 これに対して、ナンはパンみたいにやわらかいだろ、

 つまり、発酵が必要だ。」


「だから、高級なんだね。」

「でも、もっと決定的な差がある。

 ナンを焼くためには、タンドーリが必要だ。

 だから、自宅でナンを食べるためには、

 まず、ちゃんとした家があって、その上でタンドーリがなければならない。

 だから、ナンっていうのは、お金持ち用。」


このときはあんまりなんとも思わなかったが、後年僕はインド旅行に行き、道端の青空の下でチャパティを焼いている人たちをみて、アーリジットがこのとき語った意味をようやく理解したのだった。



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2009/02/10

インドの天才少年

観光旅行でインドのジャイプールに行ったときのこと。通りすがりのおじさんに英語で話し掛けられた。

「見てくれ、この子は本当に天才で、20ヶ国語をしゃべるんだ。日本語だってできる。」

などという。見ると小学生くらいの男の子だ。

ホントかなと思う反面、あいさつくらいに限れば20ヶ国語できるんだろうな、とも思う。

でも、素直に日本語で話し掛けるのも面白くないので、なるべくもったいぶって古めかしく話し掛けてみた。

「その方、それに相違ないか?」

なんのことはない、その子からは何もリアクションはなく、全然無視されたのだった。



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2009/02/07

国連の投票権に不満あるインド人

あるときインド・カルカッタ出身のベンガル人、アーリジットが国連について語り始めた。

「僕は国連の投票の仕組みに不満があるんだ。」

「なんで?」

「国連は、一国に一票の仕組みだよ。それぞれ国別の事情っていうのがあるはずなんだ。」

「どういう意味?」

「インドっていうのは、そうねぇ、ヨーロッパみたいなものなんだ。

 民族もたくさんいるし、言語もたくさんある。

 それに面積だって、人口だって、いろいろな歴史だってヨーロッパに匹敵する。

 今はたまたま国が一つなだけだという理由で国連で一票しかないのは不公平だ。」


まあ、彼のいいたいことはわからんでもない。

「じゃあ、何票あればいいんだ?」

「まあ、最低10票はあっていい。」

10票の根拠はよくわからないが、民族の違う州の数とかいいだして新ルールを作るとすると、ヨーロッパの場合、ベルギーは2票に増え、オランダは3票に増え、英国は4票に増えてしまったりして、結局、アーリジットの目指す是正は果たせないような気が・・・。



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2009/01/05

大学の授業が日本語で行われること

ベンガル人のアーリジット、彼はカルカッタの出身だったのだが、あるときに英語の話をしていて、彼の小学校の話をしてくれた。

「インド人は英語がうまくていいね。」

「インドでは、小学校から学校では全部英語だからね。」

「でも、母国語はベンガル語なんでしょ、 どうなってるの?」

「家ではベンガル語で、学校にいくと英語になるんだ。」

「・・・・・」

「インドっていうのは、ヨーロッパみたいなものなんだ。いろいろな言語といろいろな人がある。
 だから、英語が共通語なんだ。」


「でも、ベンガル語の学校があってもいいんじゃない?」

「そうかもしんないけど、そもそも小学校から大学まで、教育を自国語でできるようになるためには、大変努力が必要なんだ。なにか概念を教えようとするたびに、みんな英語になってしまう。」

僕は、明治の以来、先人たちが、西洋の「進んだ文明と仕組み」を必死になって翻訳して導入してきたことを思い浮かべていた。

で、再認識した。

大学の授業が自国語である日本語で行われること、このこと自体が幸せなこと、ってこと。



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2008/12/05

独身インド男の説明する「うまいカレーの作り方」

ある日のこと、インド人アーリジットといつものようにテニスをして留学寮に帰る途中ので、カレーについての話をしていた。

「よし、ベンガル出身インド人の俺が、お前にカレーの作り方を教えてやろう」

「ホント?」

「ああ、カレーはとてもシンプルで、おいしい料理だ」

「ありがとう。で、どうするの」

「まず、玉ねぎを多めに刻む」

「うん」

「この玉ねぎをゆっくり炒める。ここがカレーで一番大事なところだ。

 一番弱い火でゆっくり30分くらい焦げ付かないように動かす。

 しっかり茶色になるまで、焦がさずに、だ。

 これさえやっとけば、必ずうまいカレーができる。」


「わかった。それで?」

「あとはテキトーでいい。」

「えっ!?」

「水入れて、何か好きな具を入れて、それからテキトーにスパイスを入れる。」

「テキトーにスパイスなんて言われても、よくわかんないよ!!」

「いいんだ。どのスパイスをどんな風に入れるなんて家によって全然違うし、みんな、その日の気分でテキトーにすり鉢に入れてまぜてるだけなんだ。」

「・・・・・」

「だから、何をしなきゃいけない、なんてものは無い。趣味だけだ。」

「・・・・・」

「とにかく大事なのは、玉ねぎを30分かけてゆっくり炒めること、それだけ」



以来、僕はアーリジットの教えを守り、カレーを作るときには

玉ねぎだけはしっかり炒め、何も知らないまま本当にテキトーにスパイスを加えている。

でもね、彼の言うとおり、これで、『それなりのインドカレー』がちゃんとできあがるのだ。



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2008/11/28

サモサはスナックだ

留学寮にいたころ、週に一回はインド人アーリジットは寮の僕の部屋まで電話をかけてきた。

いつも、だいたいこんな感じだった。

「ハロー、元気か? 明日はまた、テニスに行こうぜ」

「オーケー。何時がいい?」

2時間ほど二人でテニスをして、いつも決まって近くのインド雑貨店に行った。

目的は・・・・・

サモサを食べることである。

そのインド雑貨店では、スパイスから石鹸までインド物品はなんでも置いてある、小さな店だった。

カウンターのおじさんに

「サモサを4つ くれ」

というと、足元の白い袋からサモサを取り出して売ってくれた。

いつも、そのサモサはうまかったこと。

だから、今でも僕にとってサモサとは、レストランの前菜ではなくて、テニス後のスナックなのだ。


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2008/09/21

小話をしてインド人を笑わせる

あるとき出張先の会議で同じような仕事をしているインド人男性の隣にすわることとなった。会議の休憩時間に雑談をするようになり、だんだんうちとけてきたので、こんな小話を作って話をした。

「この前、ボスの英国人エクスパットと話をしていて、会議で Aっていう内容が決まったって言われたんだ。」

「それで?」

「そのあとに、同じ会議に出ていた日本人幹部のところに行って、

   『A に決まったらしいですね』

   って確認したら、その日本人は

   『全然違うよ、Aじゃなくて、Bが決まったんだ』

 って言われたんだ」

「AとBは全然違う内容?」

「全く反対の内容。だから、ボスの英国人のところにもどって、

   『あの日本人は A じゃなくて、Bだって言ってましたけど』

 って、言ったら

   『何言ってるんだ、Bなんておかしい、Aに決まっている。』

 って言われたんだ。」

「それで、どうしたの?」

「今度は日本人のところに戻って

   『ウチの英国人は、Bなんておかしい、Aだって言ってましたけど。』

 って、言ったら、

   『オマエんとこの外人よくわかってないんだから、Bでなんとかしてくれる?』

 って言われたんだ。」

「それで、どうしたの?」

「また、ボスの英国人のところに戻って、

   『あの日本人は、やっぱりBだって言うですが・・』

 って言ったら、今度は

   『お前の仕事はメッセンジャーじゃない!!』
 」

インド人の彼はだんだん笑いはじめた。


「だから、

   『わかりました。』

 って答えたんだけど、そのあとボスは少し考えてこう言ったんだ。

   『違う意見があるなら俺のところに直接来い、と言え』

   『でも、たった今、お前はメッセンジャーじゃないって・・・』

   『いいから伝えろ!!』

 って。」

「で、そのメッセージを伝えたの?」

「もちろん。僕は優秀なメッセンジャーなんだ!!」

「ワーハッハッハ・・・」


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