トランジットしながら日本から西に飛び続ける場合、時計を巻き戻し続けることになり、いつまでたっても寝られない。
モハンマドV空港の数列ある入国審査の行列に並ぶと、前のおにいちゃんが
「モロッカン・オンリー」
と言って、並んでいる場所が間違っていることを教えてくれた。
審査はなかなか開始されず、進まない行列に並ぶこと45分、何らの質問なしで入国完了。
そのまま空いたタクシー乗り場に行き、先頭のタクシーを捕まえた。
黒メガネの運転手は頭からフード付きのつなぎ(「ジュバラ」という)を着ていた。スターウォーズにそのまま出演できそうな感じだ。
しばらくの価格交渉の結果、ジュバラにいちゃんと、200DH("ディルハム")という値段で合意した。
ここまでは「想定の範囲内」だ。
モハンマドV空港からカサ・ブランカ市内間には結構な距離がある。もやのかかった夜空の下でオレンジ色の街灯のついた広い道路をすっ飛ばして走ることしばし。
道の両側には薄いアイボリーに統一された屋根が平らな四角い建物が続く。
やがてホテル前に到着し、車から降りて、約束の200DH("ディルハム")の支払いを始めた。
"ディルハム"紙幣になじみがないので、こちらはどうしてもいろいろある紙幣を何枚か出して、書いてある数字を見ながら渡していくことになる。
「えーっと、100」(100DH札を渡す)
「オーケー」
「これで、200」(100DH札を渡す)
「オーケー・・・
エーンド、フィフティー!!」
(ん? なんで?)
運転手は再度繰り返した。黒ぶち眼鏡とジュバラに隠れて、どんな表情しているか全くわからない。
「エーンド、フィフティー!!」
「なんでさ。最初に200DH("ディルハム")で合意したじゃん。」
ジュバラに隠れているが、ちょっと彼の表情がひるんだ気がしたが、繰り返された。
「エーンド、フィフティー!!」
今度は、彼がひるんだ感触をとらえて、ちょっと強く出てみる。
「だーかーらぁー、200DH("ディルハム")で合意しただろ!」
彼はあきらめたように、手を振って車に戻りながら
「エーンド、フィフティー・・・」
つぶやいて去って行った。
余分なディルハム札を見せてしまったのがいけないらしいと反省したが、これがまだましな状況であったのは後から知ることになる。
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