フェズ→タンジェのグラン・タクシーの旅は4時間かかった。
まず、フェズ駅前に行って運転手がタンジェまで行く許可証らしきものをもらってきた。
町ごとにいかつい制服の保安官殿が道端に立っており、何度もタクシーを止めては許可証提示しなければならないのだ。
フェズ・タンジェの間には大きな山や谷などは特にない。
乾燥した色の濃い赤茶けた大地が続き、ときとぎサボテンやアロエのような植物の茂る丘を通過。
フェズ郊外の赤茶けた山には、大文字焼ならぬ、アラビック焼らしきものを見た。
ときどき町があって、赤い赤いアフリカの大地にやしの木の街路樹。カフェも見える。
北上しながら、丘をいくつか越え、川を越えるたびに緑が増える。
タンジェ近くになって、海に出た。砂浜にラクダが見える。
その空にはフェズの抜けるような青空には全くなかった雲が。
(タンジェはどんな町なのだろう?)
しかし、港を中心に象牙色の箱細工のように広がるタンジェの町を見下ろす目前、
タクシーは方向を変えて、海も港も見えない内陸へ。
僕はすっかり忘れていた。
このタクシーはヒコーキの代替輸送であるため、市街地や港でなく、
内陸にあるタンジェ飛行場に向かっていたのだ。
僕らは、無言のままの運転手から荷物を受け取って、
ただ、次のタクシーに乗りなおすためだけにタンジェ空港に降り立った。
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