2010/01/04

フェズ; 衣料商と吟遊詩人

サロン・ド・テの客は全員、男だった。女性客の姿はない。
大部分の客は、ひさしのある屋外のテーブルについて、何をするでなく道行く人をぼーっと眺めていたり、新聞を読んでいたりする。

となりに微動だにせず座っている、サングラスのスーツ男は何を考えているやら???

3.衣料商

マルボロ売りと、ライター売りが去って間もなく、今度は衣料商がやってきた。

左手に靴下や、カラーシャツをドサッとかかえ(なぜ袋やカバンを使わないのだろう?)、右手でアピールしたいピンクのシャツなどを風になびかせながら客の間を回る。

特にしばらく見ていたが、買う人はいなかった。

これって、つまり行商人。でも、昔日本にもいた行商人のおばあちゃんよりも持って歩いている物量ははるかに少ない。


4.吟遊詩人

今度は、ギターを首から下げたヒゲ男が現れた。吟遊詩人らしい。

サロン・ド・テの店先で、ギターを爪弾き、として歌ってくれる。

しかし、吟遊詩人には他の物売りにはない大きなパワーを持っている。

ジャララ、ラン

店内に最初の和音が響き渡ったとき、今まで微動だにせず道行く人々を眺めていた客たちは、突然動き出し、一斉にそれぞれの新聞に向かい始めたのだった。




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