2010/01/20

留学生はホームレスに金を渡すべきか?

留学寮に住んでいたころ、僕は別の寮に住んでいる、社会学のリサーチをしているジューイッシュのPという男を尊敬していた。

ある日のこと、Pと僕は、コンビニ"WAWA"に立ち寄り、おそらく何かスナックか何かを買ったのだと思う。

レジで金を支払い、外に出たときのことだった。

「ダンナ、お釣りおくれ」

コンビニの入口に一人ずつ寄生するホームレス君が、紙コップを差し出しながら無心してきた。

これに対して、ジューイッシュのPはごく自然に慣れた手つきでポケットから1ドル札を出して、ホームレス君の紙コップに入れて通り過ぎた。

「ダンナ、すまねえ」

ホームレス君は、Pに敬礼して受け取った。

僕は、これにちょっとショックを受けた。

僕はそれまでタダの一度も彼らにお釣りを与えたことが無かったし、

また、知る限りにおいて他の留学生がお釣りを渡しているところも一度も見たことが無かった。

実際、留学寮のキッチンで、果たして僕ら留学生はホームレスに金を渡すべきか、という議論をしたことがあるが、僕も含めて大方のアジア人の意見はこうだった;

『ホームレスを助けるようなことは、社会福祉政策として国や州がやるべき内容であり、外国人の留学生ごときが差し出がましくやるべきことではない』

(似た議論へのリンク)
NASA vs ホームレスの対決


実際、アメリカではその気になりさえすれば、どの州であってもすべてのホームレスに、住居と食事を与えるくらいのことは、間違いなくできるはずなのだ。

(『その気になりさえすれば』というのは、議会の承認がなされれば、という意味であり、そのためにはNASAのようなものに議会で勝つ必要があるのだが・・・。)

とはいうものの、時間が立った今、この件に対する僕の考え方は少し変わった。

きっと、そういうホームレスのことが気になった時に、僕は議論などすることなく、僕自身の自由意思で誰への気兼ねなく、ホームレスさんに自分に余裕のある範囲で渡してあげれば良かったのだ。

それこそが、自由意思に基づく自分なりの行動であって、きっと民主主義の基本。

そう思えるようになった頃から僕は、電車の中で、お年寄りに席を譲ってあげられるようになったような気がするのである。



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