あるときビジターの英国人Mと食事をしているときに「よく使われるが、何も意味しない言葉」という話になった。
「ワタシは、生粋の英国人だが、イタリアで働いていたことがある。」
「へぇ、そうですか]
「イタリアで働いていた期間が短かったので、イタリア語がちゃんとできるようにはならなかったが、それでも不思議なことに、なぜかイタリア語でワタシの悪口を言っていることくらいはわかるもんなんだ。」
「・・・」
「その経験に基づいて言うと、思うにイタリア人が一番使う言葉は『アローラ』だ。」
「アローラ!? どんな意味ですか?」
「アローラは、日常的にとてもよく使われるが、それ自体は何も意味しない言葉だ。」
「・・・何も意味しない言葉?」
「そう。何か発声したいがまだ何も言えないときや、何を言うかこれから考えるときに使う。
例えば、ワタシが同僚のイタリア人に何か良いアイディアがないか、と聞く。
するとそのイタリア人はまず『アローラ・・・』と言ってから、何かをコメントするという具合だ。」
「英語の "well"みたいな感じですか?」
「まったく、その通り。」
(だったら、そんな回りくどい言い方しなくてもいいのに・・・)
すると、それまで横で黙って聞いていた日本オフィスにいるエクスパットのスコットランド人Nが言った。
「日本語にも同じものがあるぞ。
それは『えーっと・・・』だ。
僕も毎日、『えーっと・・・』を何度も聞いている。
ほかの日本語は忘れても、『えーっと』だけはきっと忘れないだろう。」
なるほど、つまりこの人たちは毎日、簡単には答えられないことを質問しつづけている、ということらしい。
2 件のコメント:
こんばんわ たまーむさん。”アローラ”って言葉大好きです。”アローラ”フェチです。イタリア人が言うととてもかわいい!
日本語を話さない人にとってかわいい日本語ってどんな言葉なんでしょうね。自分としては”もしもし”とか”なに?”なんて結構かわいいと思います。
こんばんは。
Chikiさん、いつも楽しいコメントをありがとうございます。
「えーっと」よりも「もしもしとか「なに?」のほうが印象強いのかもしれませんね。
以前に、日本人の知り合いに「ものすごい疲れると、日本語も言語ではなくて、音として聞こえる」と言われたことがありますが、あまり体験したくないですねぇ~。
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