オランダ人エクスパットJは、しばしばこんなセリフを吐いた。
「おれは、そんなマイクロ・マネジメントはしない。」
ここで言っている「マイクロ・マネジメント」とはつまり、簡単に言ってしまうと
「そんな細かいことは、オレは知らん。決める能力を持つものが自分で決定せよ。」
という意味である。
日本にやってくるエクスパットは、当然のことながら日本固有の個別具体的な詳細については、そもそも理解していようがなく、それをどうやってうまく簡潔にエクスパットに説明して了解させるのか、というのは外資系企業において、エクスパットと対面する日本人スタッフの肝となるのだが、その点、オランダ人エクスパットJはかなり割り切りが良いというか、潔かったのである。
彼は、彼に与えられた「マネジメントの仕事」とは、方向性とか、優先順位を決めることのみにあり、日本の細かなオペレーションについては、
「そんな話をエクスパティーズがない人間が聞いても、価値はない」
と説明した上で、彼はこのキメ台詞を吐くのだ。
「おれは、そんなマイクロ・マネジメントはしない。」
これって、彼本人は実は何もしていないにもかかわらず、しかも誰をも指名することなく、結果的に決められる人間が勝手に決定せざるを得なくなりつつ、しかも事後に彼は、引き続き内容を中立的にフォローできる立場に居続ける・・・大変ウマいやり方なのであった。
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