麻薬探知犬と女性職員が奥に消えた1分くらいした後のことだった。
再び、前回と同じところから探知犬をつないだ女性職員が現れた。
(ヨッ、待ってたよ!!)
どうやらルートが決まっていて、もう一周やることにしたらしい。
クンクン、クンクン
探知犬君はさっきと同じくらいの流れるようなスピードでこちらにやってくる。
(今度も通過してしまうんじゃないか?)
すると、今度は僕の手前3メーターくらいところで、女性職員がリードを引っ張って、探知犬をスローダウンさせた。
スローダウンとともに探知犬はやや丁寧にクンクンし始め、こちらにやってきた。
クンクン、ん?
ブツの仕込んである僕の右足の前で、探知犬は足をとめた。
クンクン、これはあやしい?
クンクン、ここだ
クンクン、間違いない
ヘッヘッヘッ・・・見つけました、ご主人さま
探知犬は僕の右足の甲のあたりをひとしきりクンクンすると、その場にお座りして「主人」のおねえさんを見上げた。
(やるねー。やっぱり、犬にはわかるものなんだ)
おねえさんは、懐から白いぐるぐる巻いたタオルを取り出し、何かを言いながらタオルを床に放り投げた。
探知犬はたちまち白いタオルを追って パクっと、それをくわえた。
そして、探知犬と「ご主人の」女性職員は再び、僕には何も言わずにそのまま去って行った。
(あのー、僕はどうすれば・・・)
つづく
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