あるとき英国・マンチェスターでタクシーに乗り込んだときのこと。
「XXXの町のYYYホテルまで行ってくれ。いくらだ?」
すると、タクシーの運ちゃん、町の名前と値段が乗っている紙の表を出してきて、行き先を探し始めた。
行き先表はどうやら町の名前がアルファベット順に並んでいるみたいだ。
「えーと、XXX まで・・・。20ポンドだ。」
僕が
「わかった。だいたい20ポンドくらいね。」
というと、運転手はこう答えた。
「いいや、『だいたい』ではない。
ここのタクシーは、みんな固定料金制で、行き先町ごとにこのテーブルの料金に従うことになっている。
だから、きっちり20ポンドだ。」
つまり、メーターによる料金ではない固定料金ということか。
「オーケー。固定料金で20ポンドね。わかった。」
タクシーは走り始め、僕は後部座席で、オレンジ色に光る街灯をぼんやり眺めて過ごした。
やがて、目的地YYYホテルに到着。
「オーケー。ありがとう。」
財布から20ポンドを出して確認していると、運転手は振り返ってこう言ってきた。
「26ポンドだ!!」
「はぁ? さっき固定料金制で20ポンドだって言ったじゃないか?」
「確かに、ここのタクシーは固定料金制だ。
でも、時計を見てみろ!!」
運転台の横に置時計がつけてあり、その針は午後11時5分を示していた。
「夜の11時を過ぎると、料金表は裏側の表に変わるんだ。
そして、夜の固定料金は26ポンドだ!!
ここを見てくれ」
確かに、その深夜20%増しと書かれたその固定料金表には、XXX町 26ポンドと書いてあった。
「わかったよ。26ポンドね。」
僕はしかたなく26ポンドを彼に支払いタクシーを降りた。
でも、なんだか騙されたような気になりながらホテルのフロントに向かっただった。
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