2010/02/23

「問題ない」でも「生き残れる」でもない

あるとき、英国人エクスパットのEさんから、僕が作成してその上で彼自身がかなりアレンジしたプレゼン資料の確認を求められたことがある。

その翌日、エクスパットEはその資料を使って、本社からのエラいビジターにプレゼンをする予定だったのだ。

さて
資料を確認した僕は、エクスパットEがある認識間違いをしていることに気付き、彼の部屋を訪問しその点を懸念点として説明した。

すると、その内容を一通り聞いた上で、英国人エクスパットEは僕に対してこう答えた。

「ありがとう。でも、私はそれを伏せておくことができる。」

(原文 "Thank you. But I can sit on it.")


エクスパットEは、僕の指摘した問題は、プレゼン資料の修正を必要とするほどの重要な問題ではないと判断した上で、それを僕に伝えながら、かつそれでも僕に対してきちんと感謝を述べるという極めて高度なことを一文でやってのけたのだった。

通常、この場面で一番使用される可能性の高い英語のフレーズはおそらく、

「問題ない」 "No Problem"

であろう。しかし、確認を依頼した相手である僕が問題だと指摘しているのに対して、「問題ない」と答えるのはどうしても偉そうに却下している感じになる。

また、ちょっと冗談めかして

「生き残れる」 "I can survive"

というのも、よく聞くフレーズだがこの場面で使うと追加の資料修正が面倒だから手抜きをしているようにしか聞こえない。

エクスパットEは英語のネイティブだから当然、と言ってしまえばそれまでだが、「問題ない」でもなく、「生き残れる」でもなく、「伏せておくことができる」というフレーズを使われたことで、その日、僕はエクスパットEの僕に対する配慮を痛く感じたのだった。



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