2010/02/09

フェズ; 大きなタクシーと小さなタクシー

一般的にフェズからタンジェまで、という移動にはヒコーキには乗らない。

距離も近いし、しかも直行便はない。

が、時間節約のために僕はフェズ-> カサ・ブランカ-> タンジェ という乗り継ぎを予約していた。

朝5:00に起きて、ホテルから飛び出しフェズ空港に向かうことにした。

早朝のフェズ新市街は結構寒く、しかも人がまばらで不気味だった。

タクシーを探してしばらく歩くと交差点の角に赤いプジョーの小型タクシーが停車しているのを発見!!

「空港に行きたい。空港につれてってくれ。」

とタクシー運転手のおじいさんに言うと、予想外の回答が返ってきた。

「これはプチ・タクシーだから、空港には行かれない。」

「はぁ???」

フランス語のかみ合わない会話をして、おじいさんの言うことを整理するとこういうことだった。

タクシーには二種類のタクシーがあって、プチ・タクシーとグラン・タクシーという区分がある。

おじいさんの赤いタクシーはプチ・タクシーであるので、空港のような遠方に行くことはできない。


「じゃあ、どうすれば空港に行けるんだ?」

「10DHで、オレがグラン・タクシー乗り場に連れて行ってやる。」

「わかった。グラン・タクシーのいるところに連れてってくれ。」

なんだか昔話みたいだ。

大きなタクシーと小さなタクシーがあるなかで、慎ましくも小さい方を選んだのに、イマイチいいことがない。




おじいさんの赤いプチ・タクシーで、到着したのはただの空き地にしか見えなかった。

空き地に、洗車するとクリーム色になるのではないかと思われるようなグレーのベンツが、狭い丘のような空き地に折り重なるように停まっていた。

確かにグラン・タクシーらしきベンツはあるが、オフィスのようなものは見当たらない。

(誰もいないじゃないか!?)

もしかしてこれでは、これでは空港に行けないのではないかという不安を感じつつ、気合いを入れて叫んでみた。

「タ、タクシー!!」

すると、目の前のタクシーの後部座席からむくむくと人影が起き上がり、毛布をかぶった運転手が中から現れた。

空港まで120DH。

どうやらこれは、舌切雀ではなかったようだ。

僕は「大は小を兼ねる」という言葉を思い出しながら、まばらに木が生えた野原という、空港までの道のりを東の空が白む中で車窓に見たのだった。




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1 件のコメント:

履歴書の書き方の見本 さんのコメント...

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

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