あるとき、会社のビジターとしてタイ人のワタナポン(仮名)を含めたいろいろな国籍の人が会議のためにやってきた。
タイ人のワタナポンは、日本の大学を卒業しているので日本語もぺらぺらである。
会議が終わった夕方、僕は彼らビジター全員を居酒屋に誘った。
以下はそのときの飲み会での酔っ払いな会話。
「ところで、タイ語で『さん』ってなんて言うの? 例えば、『ワタナポンさん』って言うときの『さん』」
「あー、それはですねぇ。『クン』です。」
「えっ??? 日本語の敬称『さん』はタイ語の『クン』!!」
驚いて叫ぶと、ワタナポンは丁寧に説明してくれた。
「日本語の『さん』と違って、タイ語の『クン』は名前の前につけます。
例えば、日本語の『ワタナポン さん』は、
タイ語でいうときは『クン ワタナポン』となります。」
これを聞いた酔っぱらった日本人Nさんが呼びかけた。
「クン ワタナポン 君!!」
「はい」
(これはおやじギャグだ・・・)
すると別の日本人Kさんがまぜっかえす。
「いや、それは違うだろ!!
『クン ワタナポン』か『ワタナポン クン』のどちらかだ!! 」
「クン ワタナポン クン!!」
「はい」
「いや、だからそれは違う!!
『クン ワタナポン』か『ワタナポン クン』のどちらかだ!! 」
神妙に返事してくれているワタナポンがちょっと気の毒なので僕は間に入って言ってみた。
「まあ、本人に聞いてみましょうよ。
本人としては『クン ワタナポン』と呼ばれるのと『ワタナポン クン』と呼ばれるのとどちらがいいですか?」
ちょっと考えて、ワタナポンはきわめて遠慮がちにこう答えた。
「あのー、ワタシはどちらでもいいです。」
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