あるとき、クアラ・ルンプールのオフィスを訪問したときのこと。仕事が終わってホテルの帰るためにタクシーを呼んでくれることになった。
マレーシア女性(華僑)のSさんが手配をしてくれることになった。
「それじゃあ、タクシーを呼ぶわね。」
「はい。お願いします。」
ところで、たまたま通りがかったシンガポール人(華僑)のJ男がちょっと冗談めかして絡んできた。
「ここはマレーシアだからなぁ~。タクシーは来ないよ~。」
すかさずマレーシアの誇りをかけてSさんが言い返す。
「そんなことはないわよ。マレーシアでもちゃんとタクシーは来ます。」
「夕方のクアラ・ルンプールではタクシーは1時間たってもなかなか来ないよね~。
シンガポールなら、いつでもタクシーは5分で来てくれるよ。」
「いいえ、マレーシアでもちゃんとタクシーは来ます。」
だんだん言い返すSさんの口調もきつくなってきた。
それをJ男はさらに挑発するようなことをいいだした。
「なんといっても、シンガポールはマレーシアの一部ではないからねぇ~。」
「今はね。でも昔はシンガポールも、マレーシアの一部でした!!」
「でも、今は違うんだよね~。タクシーも来るしね。」
「マレーシアもタクシーはちゃんと来ます。
そういう人ばっかりだから、シンガポールにはマレーシアから出て行ってもらったんだわ!!」
口調も激しくなってきたし、こうなると日本人の僕としてはうかつに口出しできない。
とはいえ、二人で繰り返しているいつもの会話のようにも見えるし・・・。
ようやくタクシーが到着してこの微妙な雰囲気から退出できたのは、これより30分も後のことなのだった。
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