ある時のこと。
コンサルのYさんと一緒にインド・レストランに入って食事をとることになった。
二人ともチキン・カレーのセットを注文。しばらくすると、カレーとサラダ、それにできたてのナンが一枚、金属のトレーにのって出てきた。
ふとYさんが言い出した。
「昔、インド人の知り合いにナンの正しいちぎり方っていうのを習ったんですよ。」
「ナンをちぎるのに正しい方法なんていうものがあるの?」
と両手でナンをちぎりながら聞く僕。
「あるんです」
「どうするんですか?」
「ほら、今やってるみたいな風に両手を使っちゃダメなんですよ
彼らは右手だけでで食べるんですよ」
「確かにね。インドに旅行したことがあるが気がつかなかったなぁ~。
オーケー。でもさ、ほんとにナンって片手で食えるのかな?」
「できます。」
「じゃあ、教えてくれる?」
さすがはコンサルタント。なんでも知っていると見える。
「まずですね。右手の人差指と親指で、ナンのちぎりたい部分をつまみます。
もちろん、それだけじゃあ、ちぎれないですよね。」
「うん、それで・・!?」
「このプレートの端の部分にナンをおいて、小指の側面を上から押さえるんです。」
「・・・・?」
「つまり、ナンを右手小指の外側でプレートの端に上から押さえつけながら、
右手人差指と親指でナンをつまんで、上に引っ張りながら引きちぎるようにします。」
人差指と親指でナンをつまんで上に引っ張る・・・全く慣れない指の筋肉の動きである。
「・・・えっ、難しい!! 全然力が入らない!!」
で、ナンを引きちぎるのに小指側面でしっかりとナンを上から押さえる・・・・
「アチッ!! アチチチチ!!
ナンが熱い!!
指が、指が・・・!!」
上から押しつけてナンの内部に小指側面のやわらかいところが食い込んだ瞬間、思わず声をあげてしまった。
動き慣れない方向に精いっぱい指の筋肉を使っていて、つりそうな上に、普段全く熱い食品に触れない小指付け根の皮膚がナンの熱さにぜんぜん耐えられない。
(こんなことは、とてもナン一枚分続けられそうもない・・・)
インド人達はきっと、右手の指筋肉がとても発達し、かつ、小指の付け根にはナンダコが出来ているに違いないのである。
2 件のコメント:
こんばんわ。チキです。
ナンひとつとってもインド人にはインド人のルールがあるんですね。当然と言えば当然だけど、こうしてよく説明していただけると改めて感心します。インドと聞くといつも思い出すのですが、インド人は全員猫舌だ、という噂を聞いたことがあるのですが、どうなんでしょう?(笑)勇気が無くてインド人には直接聞いたことがありません。
はっははは。チキさんのコメントにはいつもクスリとさせられますね。インド人猫舌説、面白いですね。今度、勇気をふるって聞いてみましょう。
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