その昔、僕が結婚したときには一応披露宴をやったのだが、妻メグミと披露宴の司会をやってくれたメグミの友人シホさんと三人で披露宴をどうするかの相談をしていたとき、儀式が嫌いな僕はケーキカットについてかみついていた。
「なんで、ケーキカットって、あるの? そもそもなんなのさ、ケーキカットって?」
こんなことを聞いて、定番の儀式に反対するやつも珍しいんだろうが、セミプロのシホさんは全く動じず、このように答えてくれた。
「ケーキカットには、夫婦で行う最初の食事、という意味があるの」
うーん、そうかぁ。なかなか意味あるじゃん。
「でも、それじゃあ、ケーキカットの後にちゃんとそのケーキを食べなきゃ、ダメじゃん。」
かくて僕らの結婚披露宴では
・司会のシホさんからケーキカットには、最初の食事という意味があります、と説明
・食べるのにふさわしい小型のケーキを僕ら夫婦で儀式的にカット
・続けて新婦メグミが切ったケーキをフォークに指して、新郎の僕に食べさせる、
という本来の意味を踏まえたオリジナルのパフォーマンスを行った。
それはそれでまあ、良かった。
しかし・・・・。
結婚後には招待した友人たちから披露宴の写真が次々と届いたのだが、その中には決まってケーキカットの写真の次に、ケーキを食べるパフォーマンスの写真が入っていた。
それらのどれもが、こんな写真だった。
・形の崩れたケーキをフォークに指して、フェンシング選手よろしく、それを僕に突き出すウェディングドレス姿の妻メグミ。
・ケーキのクリームがつかないように精一杯の大口を開けて、中腰になっている僕。
あぁ~、かっこわる~
ケーキカットが元来の「最初の食事」という形態から発展して、儀式自体からは食べるパートがなくなったのには、それなりの理由があったのだった。
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