で、飲み会の最後に幹事格のキシさんの提案で、一本締めをやることなったが、クレアは一本締めを知らなかったので、まずキシさんは一本締めの説明を始めた。
「いいかな、両手を前に出して。そう。ぼくが『よ~おっ』っていってから、みんなでパンと拍手を一回するんだ。わかった?」
「・・・・・」
「タイミングは、よ~おっ、パン、っていう感じ。」
「わかったわ」
で、キシさんの音頭で一本締めを始めた。
「みなさん、今日はお疲れ様でした。最後に一本締めで終わりたいと思います。お手を拝借、よ~おっ」
パン パン
二回目のパンはクレアだった。一本に締まらなかったのだ。
「あっ、も一回、も一回」
というフォローが入って、二回目。
「よ~おっ」
パン パン
「あれー、ちょっと練習しようか」
で、ちょっと練習した。
「じゃあ、これで最後ね、お手を拝借、よ~おっ」
パン、パン
クリアは早めにという意識が強すぎて、今度は早くたたきすぎたのだった。
結局この日、何度やってもクレアは一本締めができず、ちょっと落ち込んでいた。
不思議なのは、中国人張さんはこれを何の苦もなくやってのけたことである。
日本語のボキャブラリーとかはおそらく勉強時間に比例して、クレアの方が張さんよりも上だったが、しかし、クレアの前にはどうしても超えがたい、非言語障壁が立ちはだかっていたのだった。
僕は、西洋人のパーティーにうまく入れない感じがするときに、今でもときどき、クレアの一本締め事件を思い出す。
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2 件のコメント:
これおもしろいですね~
アジアとヨーロッパでは何かリズムが違うんでしょうかね?
わたしもちょっと誰かで試してみたいと思います(笑)
ありがとうございます。
きっと、なにかあるんでしょう。
このあとも、なんどやっても、ぜんぜんダメでしたから。
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