ある日のこと、留学寮のスイートで僕以外の唯一の日本人であるミスター・マサオがやってきて話しかけてきた。
これはかなり珍しい。
普段、ミスターは英語上達のため、あまり日本人である僕とは二人で話をするのを好まないのである。そのくらいミスターはストイックだったのだ。
「ここの大学の事務所には気をつけた方がいいよ」
「はぁ」
「私はここに2年いるけど、一度払った授業料が払われてないって、また呼び出されたんだ。」
「それでどうしたんですか?」
「領収書を探して持って行って見せたら、ソーリー手違いだっていうんだ。こんなことが二回もあるのはどうもおかしいとおもうんだよ」
ミスターは親切で言ってくれているのにまちがいなかったが、そんな話が他にあったらもっと大騒ぎしている奴らがいるはずである。多くの留学生にとって授業料はそんなに簡単な金額ではないのだ。
だから、僕はちょっと失礼なことをおもっていた。
『ミスター、きっとアナタはカモに見られているんです』
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