これはあるときに友人Yからずいぶん昔に聞いた話。
Yは、日本人の両親が仕事の都合でロンドンにしばらく住んでいるのだが、あるときに両親に会いにロンドンに行くことにした。で、ロンドンの両親に電話して、何か日本から買ってきてほしいものがないか、と聞いたところと、次の2つ頼まれたらしい。
<ロンドンへのお土産希望リスト>
1.生卵
2.小豆 〔あずき〕
理由は、それぞれ下記の通りで大変日本人的な、食い気のある理由だった。
1.なかなか海外では生卵を食べることが出来ないが、出来ないと思うとますます生卵が食べたいので、日本から食べられる生卵を持ってきてほしい。
2.ロンドンで買える小豆はあるが、もう一つぜんざいにするといい味にならないので、いい小豆を買ってきてほしい。
さて、ほしいものがはっきりしたところで、Yは頭を抱えた。小豆はまだしも、いったい日本から生卵をロンドンまで運ぶには一体どうしたらいいんだ、と。
生卵なんで、割れやすいし、生で食うのが目的だから、温度は管理しなきゃいけないし・・・・。Yは、智恵をしぼって、次のようにしてトランクに、生卵と小豆をしまいこんだらしい。
<輸送方法>
-まず、空になった茶筒を6本用意。
-それぞれの茶筒に、生卵を3つずつ入れる。
-茶筒に生卵を入れた間のスキマにバラバラにした小豆を詰めて生卵を固定。
-生卵を入れた茶筒のフタをテープでしっかりと止める。
-更に茶筒6本をまとめて、トランク内で動かないようにテープと衣類で固定。
さて、トランクに生卵と小豆をセットして、なんとかロンドン・ヒースローまでやってきたYはここで思わぬトラブルに巻き込まれた。
出口で荷物検査に引っかかったのである。
何しろ、トランクを荷物検査の機械に通した係員が画面に発見したのは、なにやら金属の円筒形物体が多数トランクに入っている図である。係員にはミサイルセットみたいな形に見えたはずだ。
で、Yは聞かれた。
「トランクに不審な形状のものが入っているが、開けてもいいか?」
もちろんYはオーケーせざるを得ない。係員はトランクを開けて、茶筒を発見した。
「これはいったいなんだ?」
「・・・・・卵が入っている」
Yはここで、更に相当不審に思われたらしい、別室につれていかれた。
「なに、卵が入っているだと!?」
「はい、卵と豆が入っています」
「?・・・・・開けてもいいか?」
一つを、開けると中から確かに小豆が出てきて、机の上に散乱。更に確かに卵が入っていた。
「もう一度聞く、これは一体なんだ」
「卵と、小豆です」
係員、別の茶筒を指し、聞いた。
「これも開けていいか?」
こうして二つ目の茶筒からも小豆と生卵が確認された。
「これは一体どういうことだ。これには何が入っている?」
かくしてYは持ってきた全ての茶筒を別室であけさせられ、生卵と小豆を見せた上で、このようなお土産を買ってきた経緯をえんえんと説明するはめになったのだった。なんとか出口で家族が迎えにきているんだ、とアピールすること30分、ようやく無罪放免。
教訓; 海外旅行ではあまり変わったものを持ち歩くと、ろくなことはありません。
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