2009/07/10

イスタンブール・ドルムシュに間違えて乗る

イスタンブールには、旧市街歴史地区の北側と新市街方面との間に「金角湾」という海があり、その間にはガラダ橋という橋が架かっている。

新市街側の船着場・カドゥキョイにいた僕は、旧市街に戻るのに、橋を歩くのは面倒くさいので船(ドルムシュ)に乗って渡れないか、と考えた。



せっかく来たのだがら、来たのと同じ道ではつまらないし、いろいろやってみようというわけだが、実はこれが大きな間違いだった。

イスタンブールでは船・ドルムシュで通勤している人が少なからずいるらしい。

チケットの替りにビレットと呼ばれるコイン(というよりトークンというべきか)があり、ビレットには碇のマークが刻印されていた。

夜8時半。ほぽ満員の船・ドルムシュが出港。

霧もやの中から、オレンジ光の街灯で旧市街が浮かび上がる。

おや、船がどんどん岸から離れていくぞ!!

旧市街の港・エミノニュに行くつもりだったのだが・・・・。

たまたま隣にいたトルコ人のおじさんを捕まえて聞くと、この親切なおじさんはひたすら熱く、激しく説明してくれた。

「いいか君たち!!

新市街・カドゥキョイを出発して、旧市街・エミノニュに行く船・ドルムシュは存在しない!!

 よく覚えといてくれ!!」


「わかった。

 で、ところでこの船はどこに向かっているの?」

「この船の行先は、カディキョイだ!!」

船はそろそろボスポラス海峡の真ん中に差し掛かっていた。

「???

この船は、新市街のカドゥキョイを出発して、どこに向かっているの?」

「カドゥキョイを出発して、エミノニュに行く船はない!!

 これは、カディキョイ行きだ!!」


地名が頭に入っていないので混乱していた僕だったが、少し飲み込めてきた。

「この船は・・・・『カドゥキョイ』から、『カディキョイ』に行くんだね?」

なんて紛らわしい名前なんだろう。

「その通りだ。

 カドゥキョイを出発して、エミノニュに行く船はないのだ!!」


「それで、『カディキョイ』っていうのはどこ?」

するとおじさんは、船の進行方向を指さした。

「あそこだ!!

 あれがカディキョイだ!!」


船はボスポラス海峡をほぼ渡りきり、海峡東側の港、つまりアジア側の陸地に向かっていた。

イスタンブールにおいて、船・ドルムシュを使って通勤している人たちというのは、つまりアジア側に住み、船でヨーロッパ側に通う人々のことだったのだ。

接岸する間もなく乗客たちは慣れた様子で、降りて行った。

船から岸壁に降りると、例のおじさんが寄ってきてこう言った。

「いいか!!

カドゥキョイを出発して、エミノニュに行く船は存在しない!!

カドゥキョイから、エミノニュに行くには、ガラダの橋を渡るんじゃ!!」





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