しばらく飲み食いして、次に何を飲もうかというときに、ナオミは、ふと戸棚の中から青い陶器製の壺を取り出してきた。
「こんなの飲んでみる?」
青磁の水差しのような壺。側面には「花郎」と漢字で書いてある。750mlくらいか?
「なにそれ? 日本酒?」
「日本酒じゃない。よくわかんない韓国の酒。
聞いても誰も知らない酒なの。」
「なんでそんなの持ってるの?」
「昔、もらったのよ。韓国人の男の人に。」
「その酒を?」
「そう。
かなり昔なんだけど、ある韓国の男の人にとても気に入られちゃったの。
で、ある日、その人が韓国から会いに行くからって言われて
家で待ってたのね。
そしたら、韓国からこのお酒を持ってうちにやってきて、いきなり
『あなたをお嫁さんにしたい』って。」
「えっ、プロポーズの酒!? かなり高い酒なんじゃないの?」
ナオミは封を切りながら答えた。
「だから、飲んでみない?
いい酒なんだろうと思うんだけど、中の色も見えないし、
どんな酒かもわからないから、ずっとあけてないままなのよ。」
「うん。あけよう。」
ナオミはグラスに正体不明の酒を入れてくれた。黄色っぽい褐色の液体。
「カンパーイ」
かなりこくのある、甘めの日本酒のような味。
「おいしいね」
「うん、もうちょっと」
「で、そのプロポーズどうしたの?」
「断って帰ってもらった。だって、2回しかあったことないんだよ。」
ラベルの位置には「花郎」と書いてある。
どこかで見たような気がする、この名前・・・。
・・・・!!!
慶州で入り口で門番に追い出された建物「花郎教育院」。
慶州・「花郎教育院」の門番に追い出される
つづく
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