2008/09/18

ウィーンで知らずに大皿ハムを注文する

パリからレールパスを使って、「オリエント急行」という寝台列車に乗り込み、その翌朝、僕は、ウィーンの駅に降り立った。

あまり腹もへっていないが、あまりやることもないのでとりあえずウィーンの駅前の、店内がほとんど無人の喫茶店に入り、朝ご飯を食べることとする。

が、出てきたメニューはドイツ語のみ。年取ったおばちゃんもドイツ語しかわからないようだった。

駅前に、店を構えながらなんということなのだろうと思いながら僕は必死でメニューを眺めた。

大学でドイツ語の単位を取ったはずなのだが、ほとんど全く身についていないので、何もわからない。唯一、次の二つのメニューが理解された。

直訳すると次の通り。
・大きなコーヒー (Gross kaffee)
・小さなコーヒー (Klein kaffee)

一ページしかないメニューを上から下に見ていくと、およそコーヒーと同じような値段のものばかりが並んでいる。コーヒーと同じ値段のものは、きっと何かの飲み物に違いないと判断した。

そうして見ていくと、メニューの一番下にコーヒーの5倍の値段のするものが一つだけあった。

スペル?  そんなものはわからないし、全く覚えてない。

とりあえず、店のおばちゃんに そのメニュー一番下のコーヒー5杯分の値段のするものを指差すと、おばちゃんはうなづいてくれた。まあ、これで何か食えるものが出てくるに違いない。

約5分後、おばちゃんは無言のまま、大皿を一つもってきて僕の前に置いた。

大皿には、種類の違うスライスしたハムがいっぱい、フグ刺しのように盛り付けられていた。

そして、ハム一周の真ん中にキュウリのピクルスが2本。

酒のつまみか何か知らないが、とにかく、コーヒー5杯分のメニューは、ハムの盛り合わせだったのだ。

僕は、あまり空いていないお腹に、飲み物もないまま、黙々とハムを一枚残らず押し込み、最後にピクルス2本を食べた。こうして食べたピクルスはかつてないほど美味かった。

ところで、あのおばちゃん、果たして僕のことを単なるハム好きのにいちゃんと思ったのか、それとも何か別のことを思ったのか? それは、今でもわからない。




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