組合はすべからく、政治にかかわりがあり、よってあるとき、僕は選挙活動に駆り出されることになった。
会社の先輩等を含めて数人が組合の推す"○山×男氏"の駅前にある事務所に集合した。
"○山×男氏"の選挙事務所に入ると、組合幹部A氏が僕たちを待っていた。
「皆さん、ご苦労さまです。
今日は2チームに分かれて活動をお願いすることになります。
『電話チーム』と『モモタロウ・チーム』に分かれてもらいます。」
適当な班分けが行われた結果、僕は「モモタロウ・チーム」に入ることになった。
ここで組合の別のBさんという人物があらわれた。
「こんにちはBといいます。
今日は私がリーダーになって、皆さんにモモタロウをやってもらいます。
『モモタロウ』って、わかんないかもしれないけど
先頭の私が旗をもって、それで皆さんたち3人が一列になって続きながら
『○山×男をお願いしま~す』って声をそろえて練り歩く、
そんな感じです。何か質問とかありますか?」
そういうことか・・・別に質問なんかはない。
僕は旗をもったモモタロウがサル・イヌ・キジをつれて歩いているところを思い浮かべてため息をついた。
なんで僕は日曜日にこんなことをしているのだろう。
「じゃあ、早速出発しましょう。
ルートは私の方が決めていましてね。一応、地図で見せておきましょう。
駅前から、この道を通って、この集落と、この集落を回る予定です。
この地区は、対立の"△川"候補の地盤でしてね。
あまり好意的でない反応もあるかもしれませんが、
にこやかにお願いします。」
つまりは拡声器をつけた選挙広報カーの代わりに、モモタロウ・チームが声を上げながら"○山"候補の名前を連呼するわけだ。
「あっ、それから一つ注意事項を。
何か聞かれても、皆さんはあくまでも、
個人的に"○山"候補が好きでこの活動をやっている、
ということで頼みます。
じゃあ出発しましょう!!」
好きも嫌いも、そもそも"○山"候補のことなんか全然知らんのだが・・・。
つづく
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