2009/04/13

モモタロウ体験(その1)

昔、日本企業で働いていたころ、僕は会社の労働組合なるものに入らされていた。

組合はすべからく、政治にかかわりがあり、よってあるとき、僕は選挙活動に駆り出されることになった。

会社の先輩等を含めて数人が組合の推す"○山×男氏"の駅前にある事務所に集合した。

"○山×男氏"の選挙事務所に入ると、組合幹部A氏が僕たちを待っていた。

「皆さん、ご苦労さまです。

 今日は2チームに分かれて活動をお願いすることになります。

 『電話チーム』と『モモタロウ・チーム』に分かれてもらいます。」


適当な班分けが行われた結果、僕は「モモタロウ・チーム」に入ることになった。

ここで組合の別のBさんという人物があらわれた。

「こんにちはBといいます。

 今日は私がリーダーになって、皆さんにモモタロウをやってもらいます。

 『モモタロウ』って、わかんないかもしれないけど

 先頭の私が旗をもって、それで皆さんたち3人が一列になって続きながら

 『○山×男をお願いしま~す』って声をそろえて練り歩く、

 そんな感じです。何か質問とかありますか?」


そういうことか・・・別に質問なんかはない。

僕は旗をもったモモタロウがサル・イヌ・キジをつれて歩いているところを思い浮かべてため息をついた。

なんで僕は日曜日にこんなことをしているのだろう。

「じゃあ、早速出発しましょう。

 ルートは私の方が決めていましてね。一応、地図で見せておきましょう。

 駅前から、この道を通って、この集落と、この集落を回る予定です。

 この地区は、対立の"△川"候補の地盤でしてね。

 あまり好意的でない反応もあるかもしれませんが、

 にこやかにお願いします。」


つまりは拡声器をつけた選挙広報カーの代わりに、モモタロウ・チームが声を上げながら"○山"候補の名前を連呼するわけだ。

「あっ、それから一つ注意事項を。

 何か聞かれても、皆さんはあくまでも、

 個人的に"○山"候補が好きでこの活動をやっている、

 ということで頼みます。

 じゃあ出発しましょう!!」


好きも嫌いも、そもそも"○山"候補のことなんか全然知らんのだが・・・。

つづく




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