2009/04/18

現地妻のジハード(その3)

夜になると、東南アジアの女性から電話がかかるようになって3日たった。

会ったこともない人だが、彼女も最初は電話を取り次ぎを頼みにかけてきたはずなのだが、話を聞いているうちにだんだん彼女は僕をあいてに、そもそも何でこんなことをしているのか、その経緯を語りはじめた。

「私はUさんが海外赴任している間に、とてもお世話になって、一緒に暮らしていたんです。」

「うん・・・」

つまり現地妻ということか。

「Uさんの海外赴任が終わって、日本に帰るときに、Uさんは私にこういいました。

 『日本の妻とは別れて、それからキミを呼び寄せる』って。」

「・・・うん。それからどうなったの?」

「だから、Uさんが日本に帰ってから、この2か月間、私は日本にいるUさんに連絡しようとしつづけているのです。」

「Uさんからは連絡はないの?」

「全くありません。

 だから、私は会社に連絡したんですが、職場の人はみんなUさんはいないっていうし、

 自宅の電話は国際電話がつながれないようになっているし、寮に電話しても常に出ないし・・・」


僕にはなんだか彼女がとても気の毒に思えてきた。

僕は同じ会社にいるらしいUさんという人も知らないし、何があったのかもよく知らないが、この男は逃げ隠れせず、直接彼女にあって話をするべきだろう。

「前から疑問に思っていたんだけど、何で僕のところの電話にかけてきたの?」

「Uさんの寮の電話に何度もかけているときに、番号を間違えて隣の人にかけてしまったんです。

 それで、寮の電話番号を一つずつずらしていくと、寮の隣の部屋に順番に掛かることがわかりました。」


この人はいったい何回、国際電話をかけ、どれだけ一生懸命の努力をしているのだろう。

お金も、時間も何もかも後回しにして、私生活はきっとめちゃくちゃになっているに違いなかった。




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