2009/04/22

現地妻のジハード(その7)

Uさんに電話をかけた翌日の夜、僕はすでに今までとは変わっていた。

ルルルルル

受話器をとる。

「ハロー。☆☆☆よ。」

もともと予期しているし、名乗ってくれなくても、なまった英語だけで誰だかはすぐわかる。

「こんばんは。」

「Uさんに電話してくれた?」

「はい。約束通り、私はUさんの自宅に電話しました。

 しかし、電話には誰も出ませんでした。Uさんは不在でした。」


「どういうこと?」

「ですから、いただいた電話番号に掛けてみましたが誰もでませんでした。」

彼女には、既に僕の声と態度はあきらかに昨日までとは全く違うことはわかったようだった。

そして、それが新たに『会社の手』が僕にもまわったということを意味することも。

こうして僕は日本の会社の一員として行動することを選び、数日間、電話で会話を共にした東南アジア女性を裏切った。

そして、僕はフェミニストではなくて、ただの断れない男であることを自分自身に証明した。

10日ほど後、会社ではUさんの明らかな左遷人事が発令された。

会社社員を巻き込み、身から出たサビの始末に協力させたUさんには、日本の会社の内部のケジメとしての人事が発令され、わかる人にはわかる一定の示しとともにこの事件は終了した。

その後、彼女がどうなったのかは知らない。

でも、社員がグルになって立ちはだかる日本の会社を相手に一人で戦い、そして

「正義はどこにあるの!!」

と訴えた彼女の悲痛な叫びが、心からは消えないまま僕は会社と自分自身がすっかり嫌いなっていた。


現地妻のジハード・終わり


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7 件のコメント:

shoot604 さんのコメント...

いやーこれすごい体験ですね!
なんだか小説になりそうな感じです(笑)
その後ほんとに彼女はどうしたんでしょうねえ・・・
結局のところどちらが悪いのか両方の話を聞いてみないとわからないんでしょうけど(あるいはどちらも悪くないのかもしれないし)、人生いろいろですねえ~

たまーむ さんのコメント...

あれから、今でも思い出すと悪いことしたなぁーって思うんだけど、といってどうすれば良かったのかもよくわからなくてねぇー。

何にしても彼女がしあわせになっていてくれることを祈るのみです。

こまねこ さんのコメント...

きっと幸せになってると思いますよ^^

たまーむ さんのコメント...

こまねこさん

ありがとうございます!!

夢民 さんのコメント...

ひどい話ですね。

南北格差のある間ならそれも可能でしょうが、、いつまでも格差の中で甘い汁を吸えるのでしょうか?


どこにでも格差による不愉快な出来事や、組織ぐるみの
もみ消しなど、、


個人って非力です、
でも組織を遣って自分を守ろうなんて、、最悪!
関わったすべての人が同じ思いでUさんをみていたのでしょうか?


嫌な体験でしたね

きっとそんな人ばかりじゃにと思いますので、、
気を取り直して、、、いい体験が訪れますように

突然の書き込み、、失礼しました




よま

たまーむ さんのコメント...

夢民さん
コメントどうもありがとうございます。
いまさらだけど、今唯一出来ることがこうしてブログにして公開していること、と思っていますので、こうしてそれはひどい、とコメントしてくれる人が一人でも多く出てきてくれれば、それが彼女へのお詫びになる、というように思っています。たまーむ

匿名 さんのコメント...

もうブログは見ていらっしゃらないでしょうか。

その女性が可哀想ですか?
その女性は、Uさんが既婚者だと知っていることは明らかです。
それなのに不倫していたんですよ。
不倫する人は自己中なんです。

Uさんは左遷された=不倫がバレて強制送還された
ということですよね。
Uさんは社会的に制裁をうけたんです。
この女性は何らかの制裁は受けていますか?
この期におよんで、まだUさんを家族から盗ろうとしているんですよ。

私はこの女性に同情はしません。
この気持ちは、海外単身赴任先で夫に現地人の同僚女性に不倫された者でないとわからないかもしれないですね。

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