彼はいろんなことを語ってくれたが、彼は僕を残して下車する前に、観光客たる僕のためにイタリア滞在中の防犯の心得を指導して去った。
「ローマに行くだろ、そうするとな、まあ300メートルおきにホームレスがいるよ。」
「ああ、そう。」
「だいたい彼らはもともとアラビアとか、アフリカの出身が多い。
もちろん全員じゃないけどね。
セルフのガソリンスタンドで、ガソリン入れてくれたり、(注;店はセルフである)
車の窓拭いてくれたりして、とにかく何かやっては金をせびる。
要りもしない花束を押しつけられるようなこともある。
まあ、とにかく金には気をつけることだ。」
「わかった、ありがとう。じゃあ、どうしたらいい?」
「まず、そうだな。。。
財布はズボンの前のポケットに入れるんだ。後ろはダメだ。」
「うん。それから?」
「列車のクシェット(寝台)のコンパートメントでは、必ず鍵を閉めるんだ。」
このときまで、僕は列車のクシェット(寝台)に入っても自分で意識的に鍵を閉めたことはなかった。
コンパートメントは3台ベットが両側にあって最大6人入るから、他の誰かが閉めていたかもしれない。
こうして僕は、彼のおかげで防犯意識を高め、次回は自分で鍵をかけようと思った。
しかし、こんな気まぐれ旅行では何が起こるのかわかったものではない。
この翌日、自分で鍵をかけたコンパートメントは、警察によって開けられることになるのだった。
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