(ここまでの経緯→ 知らないうちに飛行機予約してきたタイ人)
さて、この4人で一緒に留学寮を出発しロスに到着したが、実はどこに何をしに行くのか何も決まっていない。さっそく空港で4人で相談を始めた。
まず、言いだしっぺのタイ人アマンパが言った。
「やっぱり、ユニバーサル・スタジオにいかなきゃ。」
日本人シンゴはこう言った。
「当然、ハリウッドでしょ」
やや年長でミスターをつけて呼ばれているミスター・パクは
「まずは、ロスのダウンタウンだ」
うーん、全然かみ合わない上に、とんでもない我の強いやつらだと再認識したが、いつまでも笑っているわけにもいかない。
僕はこういった。
「もう夕方だし、どこか宿に入ってゆっくり相談しようよ」
空港のハーツ("Hertz")で国際免許を使ってレンタカーを借りた。車種は日本ではあまり見ないGMのビューイック("Buick")。運転はシンゴと僕の二人で交代である。
適当なモーテルがあったので、車を止めてフロントに4人で出かけると、フロントには、髪の毛をぴったり固めたすました東洋系の7/3分けの男がいた。
「ハロー、部屋あいてますか?」
「空いている」
「1泊いくらですか?」
「4人だからこの部屋になる。XXドルだ」
みながokして、部屋に入ろうと思ったそのとき、アマンパが叫んだ。
「それは高すぎる!!」
「他に4人の部屋はないが・・・」
「もっと安い部屋はないのか?」
「ない」
「割引してくれ!!」
「ここでの値段は決まっている、割引はできない」
言い出したら聞かないアマンパなのがわかっているから、僕ら残り3人は黙ったままだ。
「じゃあ、2人部屋を用意してくれ。そこに4人入って寝る。それならいいだろ」
「部屋の定員より多い人数を入れることは州の法律に反する。それはできない。」
「そんなの黙ってればわからないだろ」
「私はオーナーではないので、そういうことは決定できない」
「じゃあ、オーナーを出してくれ」
「オーナーは留守だ。今日は帰ってこない」
僕はなんとなく確信した。この落ち着いた対応、こいつ自身がオーナーに違いないと。
結局、アマンパのがんばりは通用せず、このモーテルには入れてもらえなかった。
でも、アマンパらしいのはここからだ。
このモーテルをあきらめて出てくると、アマンパがこう提案した。
「よし、次のモーテルを探そう。
今度は、駐車場に止めた後で、2人は車に残って、2人だけフロントに行くんだ。
そうして2人部屋を借りて、後で残り2人がこっそり部屋に入ればいい。」
この方法は全く問題なくうまく行った。
だいたいアメリカのモーテルなんて、広いし、フロントと部屋は離れているから、キーさえもらってしまえば、残り2人はこそこそする必要さえなかったのだった。
かくて、この旅行中、僕らは毎日同じ手口で2人部屋に4人で泊まり続けたのだった。
ベットは交代でね。
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