僕たち(タイ人アマンパ、韓国人ミスター・パク、日本人シンゴと僕の4人)は意図しないまま、パスポートもないのに、レンタカーを運転してカリフォルニアからメキシコ国境の町・ティファナに入ってしまっていた。
「ティファナに来ちゃったね」
前向きなアマンパと、ミスター・パクはすでに気分を切り替えていた。
「よし、せっかく来ちゃったんだから見物していこうぜ」
まあ、確かに来てしまったものはどうしようもないし、戻るにしても戻り道もよくわからない。
戻り道も探しながらティファナの町をぐるぐるしていると町の中心らしい公園があった。その公園には、ストリートベンダーがいたり子供をたくさんつれたお母さんたちがみえた。
そして、公園に沿って角を曲がったそのときだった。
後ろから
「ひゅーん、ひゅーん」
というサイレンがして、白バイが運転席の僕の横に現れて、が何か言っているので、一応、公園に沿って停止して窓をあけた。
「ハロー!! 君たちはさっきルールに違反してラインをクロスした。」
「は?」
「ラインクロスの違反で、罰金は70ドルだ」
ありえない話だ。そもそもほとんど車通りもないし、今曲がった角には信号さえない。
さっそく、後部座席からアマンパがかん高い声をあげた。
「ラインクロスなんかやってない!!」
ミスター・パクを発言した。
「いったいどこにラインがあるというんだ?」
これに対する白バイ巡査殿のコメントは驚くべきものだった。
「きみたち、これはアメリカのレンタカーだね。アメリカのレンタカーは約款に国境を超えてはいけないっていうルールが書いてある。これがバレたら、きみたちはレンタカー会社から多大な罰金を請求されることになるだろう。」
「・・・・・」
白バイ巡査殿は、いかにも慣れた感じでこう続けた。
「さて、君たちはラインクロスの違反で、罰金70ドルだ」
僕はこう答えた。
「・・・・僕はそんなに沢山キャッシュをもってないよ」
「お友達が3人も乗っているじゃないか?」
かくて僕たちは、それぞれ20ドル札を一枚ずつ出し合い「罰金」を支払った。
すると、巡査殿はこういってさわやかに白バイで走り去っていった。
「よろしい。それじゃあ、よいご旅行を!!」
かくて僕たちは、パスポートがないままメキシコに入った上、なけなしの現金までこともあろうに現地警察にカツアゲされてしまったのだった。
つづく
(次回は、緊迫の「パスポートなく国境保安官につかまる」の巻)
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