2008/10/30

検疫所は病人を守らない

あるとき、韓国のプサンに旅行に行ったときのこと。

日本に帰る少し前になって、お腹をこわしてしまい、最終日の夜は、プサンの旅人宿〔リョインスク; 韓国での一番値段レベルが低いとされる旅館のカテゴリ〕で一晩中、共用トイレに往復して、吐き下しを続けた。

しまいには、他の客がトイレについてクサイとか何とか、旅人宿のおばちゃんに文句を叫び、おばちゃんが
「日本人がなんとかかんとか」などと言い返しているのが聞こえてくるような始末。

プサンにはチャガルチという魚市場みたいなスポットがあり、昼間そこで、魚を指定してさばいてもらったのだが、その、ちょっと生っぽい料理にあたってしまったらしい。

 〔チャガルチのサカナが悪いといっているわけではない。
  元々お腹が弱いのだ。〕

帰りの飛行機の中でも吐き、空港についてもさっそく吐いたところで、こんなに吐き続けるのは普通ではないなどと、さすがに心配になってきて、検疫所に出す黄色い紙に体調不良ということで、嘔吐・下痢の両方にチェックをして提出した。

で、めでたく産まれて初めて検疫所へ 。

白衣の先生が出てきて聴診器も当ててくれたりしたのだが、

「じゃあ、これをもって行ってちょうだい」

ということで、別の黄色い紙をもらった。


検疫所から出ながら、その黄色い紙には

「3日以上たって、嘔吐・下痢がおさまらない場合には、

 あなたは赤痢の可能性があります。

 その場合には国内での伝染を防止するため、

 必ずどこそこまで来てください。    検疫所」


みたいなことが書いてあった。

そして知った。

検疫所というところは、すでに病気になっている人の診断をするところではなく、まして薬もくれたりすることもなく、今はまだ病気になっていない人のためのあるものなのだと。

なにしろ、

「で、オレのこの病気はいったい何?」

という疑問にさえ答えてもらえなかったのだ。

しかたなく空港で、嘔吐・下痢止めを買ってのみ、なんとか翌々日には少し回復したが、あのときは恨みがましく強く思った;

「体調不良の人間が、検疫所に自主的に行く意味は果たしてあるのか?」

、と。

後日知ったところによると、もし、あの後で出頭して赤痢と判定されるとその場で世間から遮断された隔離病室に閉じ込められる、ということらしい。


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