タイ人アマンパ、韓国人ミスター・パク、日本人シンゴと僕の4人はグレイハウンドの夜行バスに乗って、朝、サンフランシスコに到着した。
さすがに夜行バスで一晩過ごしているので全員やや疲れ気味である。
サンフランシスコだし、チャイナタウンで朝食におかゆでも食べようということでチャイナタウンに出かけた。はっきり言って、ニューヨークやフィラデルフィアのチャイナタウンよりはるかに小奇麗だった。
適当なお店に入って、おかゆその他を注文したのたが、サーブしてくれた中国系のウェイトレスのおねえさんに韓国人ミスター・パクがちょっかいを出し始めた。
「ねえ、おねえさん。僕たちはこれから観光に行くんだけど、一緒にどう?」
「一緒に?」
「僕たち、この町が初めてでよくわからないから、教えてほしいんだ」
ウェイトレスさんを捕まえて、町を案内しろって、無茶苦茶いうなぁ、と思って僕は言ってみた。
「それじゃあ、彼女にメリットないじゃん!?」
それでも、ミスター・パクがめげずに誘い続けるところを朝飯を食べながら見ていたのだが、なんとパク氏は中国人と思われるウェイトレスのおねえさんをOKさせてしまった。
「わたし、今日は午後はウェイトレスの仕事が休みだから・・・午後ならいいわ」
ミスター・パクは、僕を見ながら得意そうにこう言った。
「ほらみろ彼女、OKしたぞ。なんでもやらなきゃ始まらないんだ」
さて、ウェイトレスの彼女とは、午後1時に観光名所フィッシヤーマンズ・ワーフで待ち合わせ。
「やっぱり彼女は来ないんじゃないの?」
との僕のからかいをよそに、ちゃんと彼女は約束通りあらわれ、再びパク氏は得意満面。
「来たじゃないか!!」
彼女と雑談しながら、名物ケーブルカーに乗るパク氏は本当に幸せそうにみえた。
もしかするとパク氏には本気のナンパだったのかもしれない。彼は、この数か月後に国で見合いをして結婚することになる。
ウェイトレスの彼女はあんまりこの街を知らないといいながら、サンフランシスコ案内をしてくれた。
Japan townに連れて行ってくれ、そこで朝鮮焼肉のお店に入った。
ミスター・パクは、お国の料理で男の見せどころだ。
ご飯を食べながら、彼女が少し職場環境についてこぼしてこう語った。
「私の収入はチップだけなんです」
「えっ!? 給料はないの?」
「ありません。毎日のチップをためて月に300ドルくらいで、それがすべてなんですが、それでもボスはいつでも私を首にできるんです。」
「それはひどい。なんでまた」
「私の替わりはいくらでも中国から呼べるんです。」
「・・・」
その夜、僕らは彼女に同情してメシをおごり、ミスター・パクは連絡先交換をして名残を惜しみつつ彼女と別れて宿に帰ったのだった。
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