大学のときに、JFMというアメリカ人の英語の先生がいた。
彼の授業では受講者は、ひたすら順番にみんなの前に出て英語のスピーチをさせられた。
JFMは、教室の一番後ろで見ていて、終わった後にスピーチに文句をつけたが、最初の半年間、彼からは一切、英語の内容についてのダメ出しはまったくなかった。
たとえば、こんな感じ。
「立ってスピーチをするときはもっと胸を張れ。でないと自信なさげに見える。」
とか
「その英語は早すぎる。もっとゆっくり、はっきりしゃべろ」
とか
そんな内容ばかりだった。
小学校以来、教室でスピーチをしたことのない僕たち学生は、そういう形で英語スピーチのなんたるかを教え込まれたのだが、ロジカルな内容ばかり教え込まれたのではなかった。
たとえば、一部の女子学生に対しては繰り返しこんな指示をした。
「あなたは声が高すぎる」
「は?」
「もっと声を低く、できるだけ低くしてしゃべりなさい。」
「・・・・・」
「これは、ロジカルじゃないし、差別的だが、アメリカでは声が高いと女性はインテリジェンスがないと思われる。」
教室中で、学生が一斉に衝撃を受けていた。
「え~っ!!」
JFMはあつく続けた。
「不公平だが、事実なんだ。
だから、キャリアを目指すアメリカの女性はみんな、声を低くしてしゃべる練習をしているんだよ。
声が高かったら、それだけで、内容以前にこいつはバカだという色眼鏡で見られるんだ!!」
「・・・・・」
「今度からアメリカ映画をそういう目で見てみろ!!
バカな役柄の女が、どんな演技をしているか!!
みんな、巨乳で、声は必ず甲高い。
そういうのがステレオタイプなんだ。」
とんでもない話だが、これをアメリカ人としてはっきりと認めて説明し、指導に実践してくれる先生はなかなかいないように思う。
今日の記事は、そんな熱血教師JFMへの感謝をこめて。
面白いと思えたら、クリックお願いします
0 件のコメント:
コメントを投稿