あるとき日本にやってきたデンマーク人Bをつれて、ランチにカツ丼屋に連れて行ったことがあった。
日本に来て2-3日もたつと、いわゆる日本食にも飽きてくるだろうし、食わせるなら肉がいいだろうと思ったこともある。
「今日はもっとカジュアルなジャパニーズ・フーズはどう? カツ丼っていうんだけど。」
「いいよ。任せるよ。」
さて、このカツ丼専門店に入ると、カウンターしかないのでデンマーク人Bと並んで丸椅子に座って、各種あるいろいろなバリエーションのカツ丼の説明をするのも面倒なので、
「いろいろなトッピングがあるんだけど、とりあえずベーシックで頼んどくよ」
といって、一番ノーマルな、単なる「カツ丼」を二つ注文した。
店主が注文を受けて、カツを揚げたり、カツ丼専用の鍋に汁を入れて火にかけているのをカウンター越し見ながら、一応料理の説明をしていたのだが、デンマーク人Bはしきり後ろを気にしていた。
僕からの料理の説明が切れたところで、彼は質問してきた。
「一つ聞いていいか?」
「もちろん。何?」
「後ろのあれは何?」
彼の指さす方を見ると、棚があり、
その上にガンダムのプラモデルらしき彩色つきのロボットがずらーーーーと並んでいた。
これは店主の趣味なのだろう。
カツ丼が来て、二人で食べ始めた。
デンマーク人Bは、卵とじのついたカツの一切れを箸を使って頬張りながら、感想をもらした。
「この状況はどう考えても、国にいる俺の家族には伝えられそうもないと思う。」
「どうして?」
「特に俺の母親はデンマークからほとんど出たことがないんだ。
聞いたことがないこのジャパニーズの料理、カツ丼、だろ。
加えて、後ろにいるあのロボットたち。
それに、かかっている音楽はずっとヘビメタだ。
どうやって説明したらいいんだろう?」
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