店内に入るや否や、店のおやじがやってきて、この場で唯一の客である僕とメグミに説明をはじめた。
サンプルとなる空気銃の丸い玉のような石をいくつか僕らに見せて説明をはじめた。
まず、一つ目の丸い石をとってアピールした。
「○;コレ、中国のトルコ石、青い色、ウスイデース」
次に、別の石。
「○;コレ、イランのトルコ石、青い色、マアマアデース」
今度はまた別の石。
「●;コレ、トルコのトルコ石、青くて、トテモ、トテーモ、綺麗デース」
へぇ、そうかい、そりゃあ、すごいや。
もし本当にサンプルの通りなら、まあきっと、その通りだ。
僕らが一応納得したのを見た店主は、今度はまた別の、青くてきれいな石を見せた。
「●;コレハ、青いデスガ、ニセモノ、デース」
そう言うと店主は、あっという間にもっていた石を道具で砕いた。
「ホーラ、割ると、コノトオリ。
中は白くて、外ダケ色を塗ッテマース。」
確かに、それは丸くて白いプラスチックの外側に青い色を塗ったようだった。
予定通り、おおーっ、と驚く僕とメグミを見て、店主は今度は再び、トルコのトルコ石をとって、これも砕いた。
「トルコのトルコ石ハ、中も、トッテモ、キレイデース」
うん、この石は中まで全部同じトルコ石の色。
店主はそこで、右手を店内こ一周させながら、ここぞとばかりに強調した。
「モチロン、ココのトルコ石ハ、ミーンナ、ミーンナ、本物デース!!
ドレが好キ、デスカ?」
ん? 僕らはここに工場見学に来たんじゃなかったのか?
いつのまにか、僕らはどのトルコ石細工が好きか、店内いっぱいに値札のついた商品から選ぶように言われているではないか?
ふと見ると、ガイドTはといえば、店の奥にすわって、卓を囲んでチャイ談義をしている。
あっちの方が楽しそうなんだけどなぁ!?
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