2009/06/28

「ほんと!?」と叫ぶ韓国人

ある日のこと。

僕は留学寮近くのフードコードで日本人ヨシコと一緒にランチボックスを食べていた。

そこに通りがかったのは寮で僕と同じスイートに住んでいる韓国人のヒョンエル。

ヨシコと僕は、日本語でとりとめもない会話をしていたのだが、ヒョンエルは同じテーブルの空いた席に座り、黙って僕らの日本語会話を聞き始めた。

それは、ちょうどヨシコが話終えたときのことだった。

「・・・・ということになったの。」

急にヒョンエルが完璧なイントネーションの日本語で叫んだ。

「ほんと!?」

思わず、ヨシコと僕はびっくりして、ヒョンエルの顔を見つめた。

「・・・・・」

すると僕らの表情を見て、ヒョンエルは一人大笑いし始めた。

「ハッハハハ!、ハッハハハ!!・・・」

明らかに一杯食わされた感じである。だいたい彼が日本語をできるはずがない。

わかっていながら、聞いてみる僕。

「ヒョンエル、どういうことなんだよ!?」

まだ、笑いながらヒョンエルが白状を始めた。

「ソーリー。

 昨日、日本人シンゴに教えてもらったんだ。

 日本人が会話しているところで『ほんと!?』って叫ぶと面白いって。

 英語でいうと"Really"っていう意味なんだろ。」


すっかり、うまいことやられたが、これって日本語でなくてもできるに違いない。

「ところで、韓国語で"Really"ってなんて言うんだ?」

彼は、僕の逆襲プランをすぐに察したようだった。

「韓国語では、『チョンマル!?』っていうんだ。」

早速言ってみる。

「ちょんまる」

「ちょっと、だめだな。語尾の『る』は英語の"L"の発音だ。

 もう一回やってみろ」


「チョンマル!?」

「いいね、そんな感じ。

 オレの『ほんと!!』もシンゴに練習してもらったんだ。

 それじゃあ、また後でな」


ヒョンエルは満足して去って行った。


さて、その日の夕方のこと。

割と仲の良かった韓国人マイラが、別の韓国人二人と寮の一階で雑談しているところを発見。

こっそり近づいていって、マイラのセリフが切れたところで言ってみた。

「チョンマル!?」

一瞬、韓国女性のびっくりしたような顔が三つならんだ。

が、僕の顔を見てか、たぶん見てなくても、マイラは事態を察して言った。

「あなた、韓国語わかってないでしょ~?」


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